大人主導の年齢別一斉保育とは
2012年09月03日 月曜日
日本式の年齢別一斉保育を行っている保育園では、以下のような課題があげられています。
★職員一人ひとりの保育感に統一性がなく、押しつけ保育で子ども優先の保育がなされていない。
★環境設定、保育方法が大人中心で、子どもの立場から考えたものになっていない。
★子どもの人数が少ないからといって保育者都合で合同にしないで欲しい。
★玩具を指定して遊ばせている、創造性、自主性が欠如する。
★自分のクラスのことだけを考えていないか。
★世の中の変化に保育園がついていけていない。
★みんなで話し合って園の方向性を統一する、保育者が自分勝手にばらばらな保育をしない。
★園の方向性・方針が統一されていない。職員によって答え・対応が違い、その度に保護者が動かされてしまう。
★統一感がないので、利用者の意見にまどわされてしまうが、理念をしっかり築くことでブレなくなる。
★一斉保育なので、子どもの遊びを中断させている。子どもが集中して満足して遊んでいない。
★集団行動が主体なので子どもの気持ちを汲めず遊びを中断してかんしゃくを起こす子が多い。
★「何やってるの、何でできないの、もー知らない、1、2、3」等の大声による要求、感情、軍隊的態度、言語が気になる。
★行事が多く保護者へ見せることが目的になり、子どもの気持ちを第一に考えていない。
このような感想や課題は年齢別一斉保育を行っている保育園では思い当たること多いと思います。保育園は子どもの発達を促す援助をするためにあることは理解していても、日々の保育の実践となると大人主体・大人主導の保育になっているのです。年齢別一斉保育では、クラス運営を第一に考えるシステムで、子どもの気持ちは二の次になってしまいがちです。さらにはその日そのクラスとしてのデイリープログラムをこなすことが最優先されますから、子ども一人ひとりの発達過程にあった保育を提供することが出来にくいのです。
保育とは環境を通して行なうものです。環境とは物的、空間的環境だけをいうのではなく、園生活の場のあらゆるものごと、自然、身近にいる人たち(保育者、友だち)、また保育者の言葉がけや行為(援助、指導)等を含めて広義に人的・物的環境の全てをいいます。幼児の主体的な活動をうながし、幼児期にふさわしい生活が展開できるような環境を用意することが保育ともいえます。
目指していくべき保育像は、「保育者は押しつけをしない、子どもの立場にたって自立と自律をうながす、子どもの発達と個性を優先した保育」といえます。現状のままではいけない、その園の継承すべき伝統とは何なのかを確認しつつ、超少子化、核家族化時代に対応した保育改革・改善を行なう勇気をもって取り組んでいきたいものです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ