『センス・オブ・ワンダー 神秘さや不思議さに目をみはる感性』
2012年09月11日 火曜日
杉並区の公私立園長会主催の研修会が行われました。研修テーマは、「保育園における人材育成」で、保育園こそ対人業務100%の業種ですから、保育人材の質が本当に問われる職場です。
保育者同士がそれぞれのパーソナリティを尊重して、お互いの違いを認め合える力量をつけることが大切です。仕事を通してお互いを認め合う、関わりの中で尊重しあうことを練習していくと、刷り込みや思い込みが取れていくのです。
ほとんどの保育園で12時間以上の保育を行っていますから、職員の話し合いの場を設けることは工夫が必要になります。多くの保育園の会議や話し合いの課題として、第一に園長の話が長いことです。園長が口数多く語ると、話し合いの方向性を暗黙のうちに示してしまうことが多いのです。たまには一言も語らないことも必要であり、従業員の自発性を養う上でも妙案でしょう。
大人数では発言できないタイプの従業員が多い場合は、まず3人づつで語り合い、全体に対して発表し各グループの話し合いで出た案をベースに、今度は6人程度で語り合うと、方向性が導かれ参加した一人ひとりの参画意識や自分達で決めたことに満足感を覚えるようです。
人と人とのコミュニケーションスタイルは、ドッヂボールではなくキャッチボールで行うと良いと言われます。ドッジボールは相手が受け取れないボールを投げつけることが求められますが、自分の気持ちを一方的に伝えるだけではコミュニケーションは成立せず、何も課題解決はできません。キャッチボールの基本は相手が捕球しやすい胸周辺へボールを投げてあげることですから、相手が受け取れる言葉や話しかけをすると相手も受け取りやすいボールを投げてくれ、コミュニケーションが向上していきます。
いわゆる機関車のような指導型組織から脱却し、ファシリテーター的な関わり方、中立的な立場でチームの力を引き出し、そのチームの成果が最大化するよう支援する仕組みづくりが活力と再生力のある組織になっていくキーワードと言えるでしょう。
レイチェル・カーソン著の、『センス・オブ・ワンダー』には、子どもの感性の素晴らしさが記されています。日々の保育の中で、子どもが発する言葉や行動は、まさにセンスオブワンダーの世界観ですから、そのままを受け止めて讃嘆していきたいものです。
~子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になる前に澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない<センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性>を授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる怠慢と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです~
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ