ドイツ保育視察研修の仲間
2012年08月22日 水曜日
2010年に新宿せいが保育園の藤森園長先生と同志20人で旅した、ドイツ・ミュンヘン保育施設視察ツアーに兵庫県から参加された先生が育子園に来園されました。案内した職員からは、先生の子ども主体・子ども中心の保育にたいする情熱を感じたようです。
当日はお会いできなかったのですが、ご自身で製本されたドイツ保育研修報告書(記録)をいただきました。2010年6月27日~7月4日の間に訪問した7か所の保育園、幼稚園、総合施設、学童施設の概要と感想、写真で綴られた報告書(記録)をめくっていると2年前のことが昨日のように蘇ってきます。季節は初夏、湿度の低い風が心地よく吹いている園で、子ども主体・子ども中心の環境が設定されていました。
各園では自由見学の時間と保育園側との話し合いの時間がありました。園の保育理念はモンテッソリーやシュタイナーなど様々です。例えば、園舎全体が子どもの居場所と考えていることや保育者は大きな声を出してはいけないルール(子どもがまねをするから)がありました。大人は子どもの手本になる存在だから、声の発し方一つがとても大切です。
子どもが今の自分の気持ち(嬉しい、悲しい、怒っている、楽しい、眠い、具合が良くない)が描かれてる板に、洗濯バサミ型の木製クリップをくっつけて認識をしてました。
ある園ではテーマ別の部屋になっていて、子どもは自ら遊びたい部屋や場所に行って遊んでいました。テーマ別の部屋にはそれぞれのテーマが得意の担当保育者がいて、大人も得意分野が活かせるのです。何歳クラスの担当という意識よりも、職員みんなで子どもを見ていくというスタンスでした。
今年度から育子園でも3~5歳児グループの自由遊び時間はこのスタイルで2、3階の≒500㎡を子ども自ら選択して遊んでいます。
ミュンヘンのある園では移民の子どもが60%を占めていましたから、母国語とドイツ語の絵本の読み聞かせを行っていました。異なる言語、文化を受け入れる寛容な心を育てるためにも役立っているようです。各保育室の使い方はルールを守らなかったときの対応を決めています。
森で過ごすプロジェクトに同行しました。子ども達のテンションを落ち着かせるために森に着いたらミーティング等を行っていました。「怪我は子どもの権利」と考えているので、怪我をするモノを取り除くのではなく、子ども自身が怪我を防ぐ力を身につけることを大切に考えています。森では保育者は手や口を出しません、子どもは自分で遊びを発見し、創り出し、失敗してたくさんの経験を積んでいきます。ただし、子どもが助けを求めてきたら応じていました。
このようにドイツをはじめとして欧州の保育は、保育者主導で保育を展開するのではなく子ども自身が遊びや研究を選び、考え、実行していくのを保育者は援助することが保育です。保育者満足のためではなく、子どもが喜び満足していることが保育者の喜びであるという考え方です。
「子どもから保育者はいかにして離れるか」を基本にして保育をするのと、子どもに何かをやってあげたり教えたりすることが保育者の役割だと考えるのかによって、保育の展開は全く別世界のものになっていきます。
このようにドイツのブログを書いた日に、なんと現在ドイツ・ミュンヘンに在住で、かつて育子園に通っていた親子が来園してくださいました。何というタイミングでしょう。ご主人の夏休みは50日間だそうで、ご家族でゆっくり日本の夏を過ごしていらっしゃるそうです。
今年9月にはイタリア・レッジョエミリアを訪問し保育研鑽をしてきます。世界中の保育者から注目され続けているレッジョ、その環境設定は明日の保育を創造する格好の機会になると考えています。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ