東京都民間保育園協会の要望書
2012年08月17日 金曜日
東京都民間保育園協会が保育園を所轄する東京都に対して、平成25年度要望書を提出しました。協会は都内私立保育園の90%が加盟している社団法人で、杉並区内の保育園も加盟しています。今国会で消費税増税と関連法案が可決され保育の将来像も不透明感を増しています。
多様化する都市型保育事業の展開に加え、多様な価値観の保護者やその子どもへの配慮、発達的に少し気になる子への人手不足や食物アレルギー対応、投薬課題、放射能対策など保育現場には多くの課題がありその対応に苦慮しています。要望書のポイントと補足です。
①増え続けるアレルギー児に対して適切な対応をしていくための補助金充実…医師の指示に基づき、きめ細かに一人ひとりの子ども用の給食を作っていますが、そのための個別献立作成、食材確保、調理作業に人手がかかります。現在の補助制度では人件費を捻出できず、調理現場の負担増になっていますので間違いない食事提供のために補助金拡充を要望します。
☆調理器具も別に用意する場合もあり、アレルギー児一人当たり月額1,000円の加算では人件費は賄えません。関連して、宗教上の理由で特定の食材を除去しなければいけない食事提供もアレルギー児対応と同等の手間がかかりますので補助対象に加えてもらいたい項目です。
②特別な支援が必要な、「気になる子ども」に対し、適切な保育が提供できるように、新しい認定基準及び認定方法の規定と、職員配置と保育環境改善の補助金充実…アレルギー児とともに毎日の保育現場で大きな課題となっているのは、いわゆる「気になる子ども(要配慮児)」の増加とその対応です。医療機関での診断はされていないものの、園での生活上の約束を守ることや子ども同士の関係づくりが困難なボーダーライン上の児童が増加しています。きめ細やかなケアを実施し、適切な保育を提供するために新たな認定基準整備と補助新設を要望します。
☆小学校では約7%の子どもが「学校になじめない、気になる子ども」だと分析されていますので、小学校就学までに個別対応することが大切です。ここでいう新たな認定とは既存の障害児認定のハードルを下げたものを想定しています。現行の認定児には職員1人を配置できますが、「気になる子ども」には職員加配はありませんから、各園が人件費を捻出しで対応しています。その子どもの発達を促し、保育園という子ども社会の中で調和していけるよう個別に関わるためには、専門家と連携して「気になる子ども認定基準」を迅速に策定する必要があります。
この他には保育士・看護師の人材確保と育成支援や正規事務職員配置など現場からの切実な要望があげられています。福祉現場の給与処遇は全産業の中でも低い水準で、それに加えて上記のように人手が必要な諸課題が増加しているのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ