杉並区の保育情勢と課題
2012年08月15日 水曜日
杉並区の保育情勢および課題を学ぶ機会がありました。
現在、杉並区の人口は≒54万人で、就学前人口は22,027人、2003年は19,594人でした。全国的には少子化ですが、住みやすい街を目指している杉並区では就学前人口が増加しています。
区の推計では今から10年後2022年の就学前人口は19,835人、今よりも緩やかに減少していくと予測されています。ところが保育需要は2012年6,914人ですが、2022年には7,716人、人口減少にも関わらず保育需要は増加するという推計です。今よりもさらに女性の社会進出、経済的困窮、団塊ジュニア出産適齢期到来や、ファミリーマンションや一戸建住宅建設が加速し、子育て世代が増加します。現状でもフルタイム労働で入園できないのに今後10年以上もこの状態が続くのでは、保育園入園できれば出産したいという出産適齢期を逸することになりかねません。
2012年認可保育園入園申し込み数は2,560人、昨年より183人増加していますが、数字に表れていない人数も加算すると≒1,500人も入園できない子どもがいるのではないかと分析されています。区は保育定員を250人増やしても追いつきません、特に保育定員が不足している地域は西荻南、方南、永福南などで、近年中に認可保育園を4園増設、改築改修工事、認証保育所3園増設、家庭福祉員10人増、保育総量増を計画しています。
待機児童の60%が1歳児ですが、1歳児対策だけでは課題は解決できません。緊急の待機児童対策として開設している、主に2歳までを対象とした区保育室に通っている子どもの3歳児受け皿問題に象徴されるように、1歳児定員を増やすと同時に6歳児まで増やさなければ解決できません。
杉並区立保育園44園の園舎は築40年がほとんどで建物改修費用、改築新築も仮設用地の確保が困難ですが、優れた保育環境確保のためにはハード面の質向上は待ったなしの状況です。
実際の保育を行っている全国の保育園としての課題は、
幼保一体化の将来構想に対する疑問、過剰な保育提供が親子間希薄をまねく悪影響(長時間、休日、一時預かり保育等)要配慮児の対応課題、親が仕事休み日の保育、保護者との育児相談・指導などがあげられています。
小学校のクラス35人中、≒7人は学校になじめない子どもといわれ、本腰を入れて幼保小中連携を行い、中学校教師が小学校へ出向く、小学校教師が幼稚園、保育園へ出向いて実際を体験することです。さらには保育園間の子どもと保育者の交流も行ってみると間違いなくさらに良い保育が展開されていくと思います。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ