異年齢保育の学びあい
2012年08月30日 木曜日
杉並区内のある認可保育園で異年齢保育を本格的に始めるための職員会議に招かれ、育子園の理念と実践を紹介しました。9月からその保育園の保育者が交代で育子園で保育体験をすることになっています。
『自ら考え判断し、行動する』、『人の話しを聞く力を身につける』、『自分の考えを自分の言葉で言える』、これまでの保育園が当たり前と思って続けてきたことを見直していくことが大切です。保育者がやってあげたり、させたりする保育からの転換です。保育全体を通して子どもの自立と主体的な自己活動、とくに人と関われる力の根っこを育ていきます。3~5歳クラス異年齢保育やゾーン、コーナー遊びの設置、給食のセミバイキング方式、昼寝の選択性の保育など取り入れて行っています。
子どもと保育者の距離感について、世界の潮流である欧米の保育者養成学校では、「保育者は、いかに子ども達から離れて見守れるか…」を教育しています。日本ではまだ取り入れられていませんが子どもの自立を目標とする、欧米の保育を見習うところは沢山あります。
子どもを「見る」‥一人ひとりの特性を見ます(発達過程、課題が経験によって違うことを観察する)。「守る」‥養護、生命の保持、情緒の安定をはかり発達を促すことです。保育者は、ただ「見ているだけ」ではありません。五領域の発達過程をチェックしながらその子どもに適した保育援助を行います。スタンスは過干渉せず、子ども達の考え、行動を生かし、職員が子ども達の活動の場を構築し、手助けをしながら子ども達の考える力を育つのです。
異年齢保育になると、一人ひとりをちゃんと見てもらえなくなるのではないかという一部の大人の固定観念がありますが、子どもたちに同じことをさせる年齢別一斉保育なのほうが、実は一人ひとりの発達・成長や気持ちをとらえにくのです年齢別一斉保育では、一斉に同じ絵を書かせたり、折り紙を折らせて、出来が同じ製品(設計図どおりの製品のようなモノ)を作らせることを行ってきました。子どもの想像力などは必要ないもので大人が誘導する保育スタンスに陥りやすいのです。
保育園で異年齢保育を行なうと、小学校の年齢別学級に対応できなくなるのではないかという人がいますが、今までどの園も、年齢別一斉保育をやってきました。その結果して、小1プロブレムの問題で代表されるように、授業が成り立たなくて学校が困っています。その多くは押さえつけられて育った子どもなのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ