佼成育子園[こうせいいくじえん]-東京都杉並区

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園のこだわり

子どもの発達過程を見極めて

2012年08月31日 金曜日

育子園は仏教保育園です。仏教者による保育の始まりは奈良時代に遡ります。和気清麻呂の姉、法均尼が戦乱の中で子ども83人を育てたことが仏教が幼児教育に関わった始まりとされています。仏教は仏の教え、インドの言葉でブッダ(仏陀)、真理を悟った人という意味です。自他ともに悟った人と認められているのは、お釈迦さま(釈迦牟尼)ですが、仏教はお釈迦さまが説かれた教えを聞き、実践することでお釈迦さまと同じように悟りを得ることができる教えです。誰もが仏になれる教えが仏教です。

 

仏教保育は仏の智慧と慈悲の教精神を基にして保育を展開していくことですから、保育者が子どものためになる言動を心がけ、子どもを丸ごと信じきっていくことに尽きます。子ども一人ひとりの発達過程と個性を把握しながら、慈悲の心で保育を実践する方便力を身につけ、三省しながら自らを高めていくことが実践の教えといわれる仏教を保育具現することになります。

 

保育者が安定した心で保育を展開するためには、八つの正しい道、八正道(はっしょうどう)を歩むことです。仏の教えに照らし合わせて、①正見(ショウケン:物事を正しく見る)  ②正思(惟)(ショウシイ:よく考える) ③正語(ショウゴ:嘘や悪口を言わず、正しく語る) ④正業(ショウギョウ:良い行いをする) ⑤正命(ショウミョウ:正しい生活をする) ⑥正精進(ショウショウジン:努力する) ⑦正念(ショウネン:邪念を離れて正しい道を歩むことを忘れない) ⑧正定(ショウジョウ:心を落ち着ける)ことです。

 

八正道の基本は物事を正しく見る正見です。保育実践では、「子ども一人ひとりの発達過程と個性を見極めること」から始まります。そこには自己中心・大人中心ではない、子ども主体・子ども中心の一人ひとりの子どもの発達過程にピッタリあった保育が展開されていくのです。

 

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異年齢保育の学びあい

2012年08月30日 木曜日

杉並区内のある認可保育園で異年齢保育を本格的に始めるための職員会議に招かれ、育子園の理念と実践を紹介しました。9月からその保育園の保育者が交代で育子園で保育体験をすることになっています。

 

『自ら考え判断し、行動する』、『人の話しを聞く力を身につける』、『自分の考えを自分の言葉で言える』、これまでの保育園が当たり前と思って続けてきたことを見直していくことが大切です。保育者がやってあげたり、させたりする保育からの転換です。保育全体を通して子どもの自立と主体的な自己活動、とくに人と関われる力の根っこを育ていきます。3~5歳クラス異年齢保育やゾーン、コーナー遊びの設置、給食のセミバイキング方式、昼寝の選択性の保育など取り入れて行っています。

子どもと保育者の距離感について、世界の潮流である欧米の保育者養成学校では、「保育者は、いかに子ども達から離れて見守れるか…」を教育しています。日本ではまだ取り入れられていませんが子どもの自立を目標とする、欧米の保育を見習うところは沢山あります。

 

子どもを「見る」‥一人ひとりの特性を見ます(発達過程、課題が経験によって違うことを観察する)。「守る」‥養護、生命の保持、情緒の安定をはかり発達を促すことです。保育者は、ただ「見ているだけ」ではありません。五領域の発達過程をチェックしながらその子どもに適した保育援助を行います。スタンスは過干渉せず、子ども達の考え、行動を生かし、職員が子ども達の活動の場を構築し、手助けをしながら子ども達の考える力を育つのです。

 

異年齢保育になると、一人ひとりをちゃんと見てもらえなくなるのではないかという一部の大人の固定観念がありますが、子どもたちに同じことをさせる年齢別一斉保育なのほうが、実は一人ひとりの発達・成長や気持ちをとらえにくのです年齢別一斉保育では、一斉に同じ絵を書かせたり、折り紙を折らせて、出来が同じ製品(設計図どおりの製品のようなモノ)を作らせることを行ってきました。子どもの想像力などは必要ないもので大人が誘導する保育スタンスに陥りやすいのです。

 

保育園で異年齢保育を行なうと、小学校の年齢別学級に対応できなくなるのではないかという人がいますが、今までどの園も、年齢別一斉保育をやってきました。その結果して、小1プロブレムの問題で代表されるように、授業が成り立たなくて学校が困っています。その多くは押さえつけられて育った子どもなのです。

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真夏のファミリーコンサート

2012年08月29日 水曜日

resize1540法人本部が運営している東京佼成ウインドオーケストラの、「夏休みファミリーコンサート」に参加してきました。真夏日の8月24日昼下がり、育子園から歩いて10分の会場へ年長児と職員、一日保育士体験で朝から園で子ども達と過ごしていらっしゃったお父さんも一緒に参加していただきました。

 

500席の会場は近隣の保育園からの団体参加や親子連れ、町会の方々で満席でした。司会進行と指揮を務めた、青島広志さんの軽妙でコミカルな語りは子ども達を飽きさせません。テレビ番組、「題名のない音楽界」や「世界で一番受けたい授業」などに数多く出演し、作曲家として手塚治虫「火の鳥」も青島さんの作品です。

 

演奏する東京佼成ウインドオーケストラは吹奏楽団で、吹奏楽の甲子園で有名な全吹連主催の吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏も行っている、知る人ぞ知る楽団です。1960年に結成され海外演奏会、国内定期演奏会やテレビ番組「題名のない音楽会」、「クラシック倶楽部」などでも演奏しています。今回は各楽器の音色を子ども達に解りやすく披露してくれました。

 

もう一人の進行役と歌は、「おかあさんといっしょ」の16代目歌のお姉さんだった神埼ゆう子さん、杉並在住の神崎さんは来援者とも顔なじみといったとことでした。歌のお姉さんは30,000人の応募者の中から選ばれるという狭き門だそうです。二児の母となった今でも健在ぶりを発揮していました。

★当日の様子がブログにアップされています。

 

コンサートは懐かしい、1984年のロサンゼルスオリンピック・ファンファーレで始まりました。ロンドン五輪が終わったばかりですが、この曲を聴くと開会式で空飛ぶ人間が登場したことやカールルイスが100m、200m、走幅跳、男子4×100メートルリレーの4種目にエントリーして、全種目で金メダルを獲得した時のことが蘇ってきます。

 

約1時間のコンサートはあっという間に時間が過ぎ、ディズニーメドレーで幕を閉じました。また来年もあると良いと感じた貴重な体験でした。

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思い通りにならない人

2012年08月28日 火曜日

子どもが親を親らしく成長させてくれるというとらえ方は、子育てに悩んでいる親の気持ちを楽にさせてくれます。子どもが生まれた時に初めて親になったのですから子どもと親は同級生、気を張ることはないという考え方です。子どもが自分で生きる力を育むために、親がしてはいけないことはなんでしょうか。

それは子どもに対する、「指示」、「命令」、「支配」、「強制」、「管理」などでしょう。身の危険や人に危害を与えるなどの場合を除いて、慎むべき言動です。親が管理した子どもは自立出来なかったり、自らの可能性を狭め、無表情で消極的、親の顔色をうかがうようになっていきます。

 

子どもは幼稚園、保育園などの子ども集団の中で発達過程にしたがって、傍観遊び、並行遊び、連合遊び、協力遊びなどへと変化していきます。おおむね小学校に入学するまでに、個々の遊びをあじわいつつ、子ども集団の協力遊び・共同的学びへと発達していきます。友達と遊ぶこと一緒にいることが楽しく感じられるようになるには、それまでの期間に親が子どもを認めて、自信を持たせてあげることで子ども集団の中で自分を表現できるようになっていきます。

 

親の価値観や物事の見方を押し付けず、子どもの気持ちを理解してあげること、親が変わり成長した分だけ子どもは成長すると考えれば子どものせいにできなくなります。このように子育ては他者や周りの環境のせいにしない生き方を習得できるチャンスです。母子一体・父子一体、親にとっては自分の分身のように思いがちな子どもという存在も、個別の人格を有する存在、親の思いや願いどおりにならない人の代表です。

 

子ども自身の課題なのに親が自分のことのようなに考えて言動をおこすことが、じつは子どもの成長を妨げる要因になっていることが多いものです。子どものためと意気込んでいる時こそ、その思いが子どもに対する「指示」、「命令」、「支配」、「強制」、「管理」になっていないか、一呼吸おきたいものです。

 

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「親心を育む会」

2012年08月27日 月曜日

小野省子さんの詩、『愛し続けていること』を職員から教えてもらいました。

 

『愛し続けていること』

 

いつかあなたも
母親に言えないことを
考えたり、したりするでしょう

その時は思い出してください
あなたの母親も
子供には言えないことを
ずいぶんしました

作ったばかりの離乳食をひっくり返されて
何もわからないあなたの
細い腕を
思わず叩いたこともありました
あなたは驚いた目で私をみつめ
小さな手を不安そうにもぞもぞさせていました

夜中、泣きやまないあなたを
布団の上にほったらかして
ため息をつきながらながめていたこともありました
あなたはぬくもりを求め
いつまでも涙を流していました

私は母親として自分を恥ずかしいと思いました


だけど苦しみにつぶされることはなかった
それは小さなあなたが
私を愛し続けてくれたからです

 

だからもしいつか
あなたが母親に言えないことを
考えたり、したりして
つらい思いをすることがあったら
思い出してください

あなたに愛され続けて救われた私が
いつまでもあなたを
愛し続けていることを

 

 

この詩は松居和先生が衆議院社会保障・税特別委員会公聴会でも朗読されています。松居先生は埼玉県で「親心を育む会」のスーパーヴァイザー、親心を育む会は埼玉県の私立保育園関係者が、「親と子の幸せ」をただひたすらに願い続けている集まりです。法人本部の研修会の講師や一昨年の杉並区公私立保育園園長会総会でも講演をしていただきました。育子園で昨年から行っている、「保護者の保育士体験」は松居先生から伺った埼玉県全体で行っている実践を取り入れたのもです。 

 

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教育とは大人が教えること?

2012年08月24日 金曜日

首都大学東京の宮台真司教授は育児や保育で大切なこととして、「子どもは環境から学習するだけ」とおっしゃっています。子ども自ら環境に働きかけて学んでいくということですから、大人が教えるとかさせるのではないです。ちまたで保育園は「教育をしていない、子どもを預かっているだけ」と言われている根底には、何もわからない子どもに対して大人主導で教え込むことが教育だと思い込んでいるからでしょう。

 

保育園は養護と教育の役割がありますから、子どもが自分から遊びたくなる、学びたくなる遊具、用具、材料などを保育者が意図的に用意することが本来の保育環境設定(人的、物的など)です。大人目線で保育環境を設定したのでは子どもは興味を示しませんから、大切なのは子どもの発達過程に応じ、子どもが望んでいるモノをセッティングしようとする柔軟性です。子どもの興味や指向は発達とともに変化していきますから、その変化に応じてモノを変えていくことが必要です。子どもの遊びや生活を考える基本として、子どもの主体的な活動を大切にしている園は本当の意味での教育を行っているのです。

 

園では大人と子どもの関係、子ども同士の関係から相乗的に「真似ぶ」、「学ぶ」機会が沢山あります。自分より何かができる大人や子どもに憧れて、真似をすることから学びが始まっていきます。大人が学びなさいと言わなくても、子ども自ら成長したい学びたいという気持ちを持っているのですから、その気持ちが沸き立つ環境が必要なのです。そのためには子どもが選べる自由があるかなかいがポイントになります。たとえ様々な環境が用意されていたとしても、大人が遊びを指定するのでは子ども主体ではありません。子ども自身が選ぶことに意味があり、その中で課題発見や達成感、責任感が培われていくのです。

 

子どもの発達過程を近視眼的に見る大人は、同じ遊びしかしない子どもを見て心配になります。同じ遊びを繰り返せるということは、それに集中しているからで、大人から見ると同じことを繰り返しているように見えるのでしょうが、子どもはその遊びを集中して繰り返す中で変化させていきます。そしてある日突然、子ども自らその遊びを卒業して次の遊びに展開していきます。集中できることがある、モノがあることは発達にとってとても大切なことで、教科の学習の基礎能力を養っているのです。

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居心地の良い保育園

2012年08月23日 木曜日

夏休み期間を利用して育子園には様々な学生さんが保育ボランティア、保育士体験に来ています。職員の知人で将来は保育士になりたいという学生さんや職員が以前勤めていた園で担当した子どもが職員を慕って一日保育士体験に来てくれたりしています。

 

保育園には夏休みがありませんから、職員の確保するために各園では夏季アルバイトを雇います。今年も数人の方にお願いしていますが、そのうち2人は育子園を卒園して現在は保育養成学校に通っている学生さんです。十数年の時を経て園に戻ってきてくれて、働いている姿を見ると当時を知っている職員も嬉しくなります。

 

人が集うという条件はなんでしょう。こんな話を伺ったことがあります。ある旅館の主人の悩みは、お客さんが夕食会場で食事をした後、なかなか席を立とうとしないので後片づけができないことでした。早く席を立ってもらうように促すことはお客様の気持ちを察するとできないし…と悩んでいました。そのことをある方に相談すると、意外な答えが返ってきました。お客さんが席を立たないということは、その場所が居心地が良いところ、食事もおいしいところなのでしょう。そこにいつまでもいてくださるというのはマイナスではなく旅館にとって大きなプラスですね。

 

この答えを伺ったご主人はまさに目からウロコ、自分の見方や考え方を変えることができ、食後にお茶のサービスを充実するなど長居してもらう工夫までなさったそうです。このお話のように、人は居心地の良い場所に自然と集まってくるのでしょう。居心地が良いところとは、一人ひとりの居場所があり、それを保障されているところと言えるでしょう。自分の居場所が保障され気持ちが安定していると、他者のことを考えられる余裕が生まれ皆が居心地のよいところになっていきます。

 

育子園では人と人との距離感も近からず遠からず、ちょうど良いバランスが保たれている状態が常態化していて、誰かがSOSを発すると自然発生的にチームワークが発揮され、課題解決をしているのです。誰からも指示・命令されなくてもそれができる場所にいられることは、人と人との間で生きていく我々にとって最も幸せなことです。

このように、居心地の良い保育園は地域の「オアシス」になっていける素質を備えていますから、そのプローチを創造しています。

 

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ドイツ保育視察研修の仲間

2012年08月22日 水曜日

P10000072010年に新宿せいが保育園の藤森園長先生と同志20人で旅した、ドイツ・ミュンヘン保育施設視察ツアーに兵庫県から参加された先生が育子園に来園されました。案内した職員からは、先生の子ども主体・子ども中心の保育にたいする情熱を感じたようです。

 

当日はお会いできなかったのですが、ご自身で製本されたドイツ保育研修報告書(記録)をいただきました。2010年6月27日~7月4日の間に訪問した7か所の保育園、幼稚園、総合施設、学童施設の概要と感想、写真で綴られた報告書(記録)をめくっていると2年前のことが昨日のように蘇ってきます。季節は初夏、湿度の低い風が心地よく吹いている園で、子ども主体・子ども中心の環境が設定されていました。

 

resize1535各園では自由見学の時間と保育園側との話し合いの時間がありました。園の保育理念はモンテッソリーやシュタイナーなど様々です。例えば、園舎全体が子どもの居場所と考えていることや保育者は大きな声を出してはいけないルール(子どもがまねをするから)がありました。大人は子どもの手本になる存在だから、声の発し方一つがとても大切です。

子どもが今の自分の気持ち(嬉しい、悲しい、怒っている、楽しい、眠い、具合が良くない)が描かれてる板に、洗濯バサミ型の木製クリップをくっつけて認識をしてました。

 

resize1534ある園ではテーマ別の部屋になっていて、子どもは自ら遊びたい部屋や場所に行って遊んでいました。テーマ別の部屋にはそれぞれのテーマが得意の担当保育者がいて、大人も得意分野が活かせるのです。何歳クラスの担当という意識よりも、職員みんなで子どもを見ていくというスタンスでした。

今年度から育子園でも3~5歳児グループの自由遊び時間はこのスタイルで2、3階の≒500㎡を子ども自ら選択して遊んでいます。

 

ミュンヘンのある園では移民の子どもが60%を占めていましたから、母国語とドイツ語の絵本の読み聞かせを行っていました。異なる言語、文化を受け入れる寛容な心を育てるためにも役立っているようです。各保育室のresize1533使い方はルールを守らなかったときの対応を決めています。

 

森で過ごすプロジェクトに同行しました。子ども達のテンションを落ち着かせるために森に着いたらミーティング等を行っていました。「怪我は子どもの権利」と考えているので、怪我をするモノを取り除くのではなく、子ども自身が怪我を防ぐ力を身につけることを大切に考えています。森では保育者は手や口を出しません、子どもは自分で遊びを発見し、創り出し、失敗してたくさんの経験を積んでいきます。ただし、子どもが助けを求めてきたら応じていました。

 

このようにドイツをはじめとして欧州の保育は、保育者主導で保育を展開するのではなく子ども自身が遊びや研究を選び、考え、実行していくのを保育者は援助することが保育です。保育者満足のためではなく、子どもが喜び満足していることが保育者の喜びであるという考え方です。

「子どもから保育者はいかにして離れるか」を基本にして保育をするのと、子どもに何かをやってあげたり教えたりすることが保育者の役割だと考えるのかによって、保育の展開は全く別世界のものになっていきます。 

 

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このようにドイツのブログを書いた日に、なんと現在ドイツ・ミュンヘンに在住で、かつて育子園に通っていた親子が来園してくださいました。何というタイミングでしょう。ご主人の夏休みは50日間だそうで、ご家族でゆっくり日本の夏を過ごしていらっしゃるそうです。

 

今年9月にはイタリア・レッジョエミリアを訪問し保育研鑽をしてきます。世界中の保育者から注目され続けているレッジョ、その環境設定は明日の保育を創造する格好の機会になると考えています。

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育子園園庭のモデル

2012年08月21日 火曜日

resize34543読売新聞新聞朝刊に、教育ルネサンス保育新時代2「森の園庭 夢中で遊べる」という記事が掲載されていました。その園庭とは横浜市郊外にある「川和保育園」で、6年前に杉並区私立保育園連盟園長会で園を訪問したことがありました。その後、育子園の園庭も川和保育保育園をモデルとして改造を始めたのです。その後も数人の保育者が川和保育園を見学して、様々な園庭環境のアイディアを描くことができました。

川和保育園の寺田園長先生の理念を具現化した園庭デザインや設計施工を担っているのは、㈱アネビーで育子園にも遊び心一杯の提案をしてくれます。

 

川和保育園にある石垣の上にはログハウスがあります、子ども達は自らの力で石垣にへばりつきてっぺんを目指します。中には泣きながら登っている子ども、やっと登れて満面の笑みを浮かべる子ども、まさしく今を生きているという表情です。寺田園長先生は入園説明会で保護者に、「骨折までは許してほしい」と了解を求めています。現在の保護者の中には過干渉、過保護な人たちが増え、少しでも危険な遊具や場所を避ける傾向があります。世界の保育では「怪我は子どもの権利」と唱っているとおり、権利を奪うことは何人にもできないと考えることが寛容です。ただし、その子ども自身の発達を超えた危険な高さなどに登れないように遊具等を設定することが大前提です。

 

resize34542育子園にもクライミングウォールやダイビング台などチャレンジ意欲を掻き立てる遊具を設置してあります。大人の顔色をうかがうことなく、子ども自身がやりたいことを見つけ出し失敗を重ねてチャレンジする権利を保障しています。ただし、その権利を保障するための大切なルールがあります。それは、その子どもの力量で自らチャレンジするという約束で、大人や周りの子どもはけっして手伝わないことになっています。

 

青山学院大学の青木久子講師は、五感が優れた幼児は、自然に触れ体験して学習するのです。外遊びの場所が地域からなくなる一方で、保育園で過ごす時間は長くなっていて、自然環境と優れた遊具のある園庭について真剣に考える必要があると提言しています。育子園の園庭にはさらに樹木を植えて、ターザンロープで園庭から園舎まで戻れるダイナミックな遊具を設置する計画です。ほんの数十年前まで野山を駆け巡り、わくわくしながら大人が知ない秘密基地を作って遊んでいた大人達は、現在の子どもにもその楽しさをあじわってもらうしくみを造ることができるのです。

さらに、川和保育園の園庭には犬やヤギが共存しているのです、東京都と神奈川県の保育担当部門の考え方の違いを確認してみたいものです。

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み仏さまに手を合わせる心

2012年08月20日 月曜日

世界中の仏教保育園には「み仏さま」がご安置されています。育子園でもみ仏さまが、皆のことをいつも見守ってくださっています。家庭にも仏壇があると思いますが小さなお寺ということになりますから、み仏さまとと一緒にその家のご先祖さまがいらっしゃいます。自分の両親、祖父母、曽祖父母…、私たちが生まれてくる前に数えきれないご先祖さまがいらっしゃったから、今ここに自分が生きていられるのです。

 

そのことを考えると、毎日かかさずみ仏さまとご先祖さまをお参りすることが自分のいのちの確認になるのです。育子園では子ども達が朝・夕の会にみ仏さまにお参りをしています。ご宝前には毎日、お花、お水と給食をお供えします。み仏さま、ご先祖さまは生きている私たちのことを温かく見守ってくださっていますからお線香を焚き、お経をあげてみ仏さま、ご先祖さまに報恩感謝を捧げています。

 

日本のお寺の保育園や幼稚園の始まりは、法均尼(ほうきんに)さまがお寺で子どもたちを育てたことがきっかけだったといわれています。奈良時代に戦で被害をこうむった子ども達、父や母が戦で亡くなったりすると、残された子どもは食べるものもなくなり生きてゆけなくなりました。保育園などない時代でしたから誰かが残された子ども達を育てていかなければなりません。

そんなとき、法均尼という女のお坊さんが困っている子ども達を集めて面倒を見ることにしました。木の下や家の軒先で泣いている子どもを見つけると、お寺へ連れて行って育てたのだそうです。

 

このように仏教園は困っている人を無条件に救うことから始まりました。見返りを求めない慈悲の心で人が喜ぶことが自分の喜びだという精神で通ってくる子ども達に接しています。この気持ちは園に通っている子どもだけが対象ではありませんから、地域の子ども社会全体の子どもたちにも同じ気持ちを持って接する、大きな志をもっているのです。

 

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