藤原和博先生とさだまさしさん
2012年07月20日 金曜日
東京駅の目の前にある、丸の内丸善本店のセミナーに参加してきました。講師は育子園の地元、杉並区和田中学校で民間出身の校長として改革に尽力された、東京芸術大学客員教授の藤原和博先生です。年間700回も講演会を行っていますが、今回も冒頭の「さだまさし」ネタで、会場はすぐに一体感が生まれました。実際に27歳で、さだまさしさんと出会いお互いに兄弟を意識して交流が続いているそうです。
リクルート・フェローから2003年に公立の和田中学校校長へ転身し、今では全国2,500校が導入している授業の元祖「世の中科」を始めました。さらに学校内に地域本部を設置し、常時地域の人々20人程度が学校に出入りして子ども達を見守り、学校の運営を支えています。教師だけで豊かな授業や学校運営はうまくいかない、地域の実社会と学校がツナガルことで多角的に子どもを支えることができるのです。
一人ひとりの教師も個性があり得不得意がありますから、得意な人に任せた方が効果的な場面があって当然です。
日本では1997年が経済も教育も分岐点だったといえます。山内証券破たん、成熟社会の到来、みんな一緒の社会からそれぞれ一人ひとりの社会へと変化し、子ども達も多様化、軽度発達障害も多様化、個別の課題が複雑化、時代の変化が激しくなりました。
日本人共通の幸福論だった親や先生のことをよく聞いてよい学校に入って、良い会社に入社し、マイホームを持ち、ちゃんとした退職金が保障されていた時代は間違いなく終わってしまいました。国も会社も民の安定を保障できない時代、今の子どもは気づいているのです、勉強してよい会社に勤めても、親を抜かせない、給与は伸びない、夫婦共稼ぎが当たり前という事実を…。
成熟社会は、バラバラになる社会、護送船団方式ではない、正解が無い、答えは一つでない、状況判断能力が求められる社会の到来です。自分と他者が納得できる「解」を導き出す力、「納得解」という発想がポイントです。
未だに正解主義の呪縛にはまっている教師がいますが、変えていかなければいけないのです。(文責:園長)
お話を伺って感じたことは、とにかく変化を恐れずに、やっていみて、結果を観察して、修正していくという考え方が大切だということです。この修正主義は人の意見も取り入れて改善を積み重ねていくことですから、正解等無い「納得解」を導き出していく作業です。
育子園でも職員が子どもの様子を観察して、様々な保育環境設定を試して、話し合って、修正して、また話し合って、改善してという「納得解」を繰り返しています。
これは園がある限り永遠に続いていくのですから、5年前までと違う去年とも違うのは当たり前のことです。「変化には変化を」、釈尊の教えである諸行無常、あらゆるすべてのものが移り変わり流れていくという真理に沿った実践なのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ