子ども集団に入る基礎づくり
2012年07月10日 火曜日
子どもと母親の愛着関係、距離感は子どもの成長と共に変化していくのが子どもにとっては有難いことなのですが、母親がそのことをどのように知って実行するかが課題だと、子育てのプロは唱えています。妊娠中からおおむね生後6カ月は、文字通り母子一体の期間です。胎児の成長を実感として体感して妊娠期を過ごし、誕生してからも昼夜を問わず生命維持のために過ごす期間です。
おおむね1歳6カ月までは、子どもは自分と母親は別の存在だと解ってきて母親分離不安感情が現れ、近くで過ごしながら安心感を経験していきます。母親は自分のことを絶対に守ってくれる唯一の存在だという基礎中の基礎が出来上がる大切な時期です。
おおむね3・4歳までは、第2の自我形成期で自立・自尊感情を確立しようとするために、自己主張が旺盛になってきます。母親はそれまで従順だった子どもが反抗し、母親の思い通りにならなくなり感情的なやり取りに終始してしまうようです。子ども自身も、しなくてはいけないと思いと、だけど今はやりたくないという気持ちが存在し葛藤を繰り返していく時期です。
この時期がもっとも大切な時期で、子ども自身がその子なりに葛藤を繰り返し、自ら自制心を獲得しようとしているので、その時の子どもの気持ちをまずは受け止めてあげることを繰り返し繰り返し行うことです。それを母親がしないで命令し、否定し、比較し続けていると子どもは自己肯定感が培われずに、その後の発達に多大な悪影響を及ぼします。
前序の時期に母親が子どもの気持ちを受け止めてから子どもに解るように接して過ごした子どもは、しっかりとした自己肯定感が根付きますから、おおむね4歳以上になるとだんだんと母親から離れていく時期になります。現実に目の前に母親が居なくても、心の中に微笑んでいる母親の存在がある子どもは心のバッテリーが充電された状態です。その安心感があってこそ、子どもは子ども集団の子ども社会にスムーズに入っていけるのです。
このようにおおむね4歳になって、いきなり子ども集団に入れないのではなく、それまでの育ちが現れているのです。保育園の保育士配置人数も子ども6人に対して1人から、20人に対して1人になり、子ども自身が考えて行動し、生活全般の自立が確立される時期に入ります。子どもと大人の関係は距離感を保つことが大切で、子どもは子ども同士の関わりを求め、楽しさを知り、あじわっていけるのです。
母親が自分から離れていく我が子をどのように見れるか、接するかが子どもの幸せ感に繋がっていきます。子どもの全部を知りたい、把握したいという願いは母親の自己中心性ですから離れようとしている子どもの姿を成長している証だととらえると母親も気持ちが楽になります。
母親は子どもが巣立つためのサポート役ですから、いつまでもヘルパー役に陥らずに自分の子どもの存在を丸ごと信じ切って、手本を示していくことがお互いの人生にとって最良の選択といえます。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ