記念の「5」と通信簿の無い学校
2012年07月09日 月曜日
読売新聞の、「学ぼう 楽しい教室」という紙面に、テレビでおなじみの経済アナリスト森永卓郎さんの、「私の先生」というコラムが載っていました。森永さんの父親は毎日新聞の特派員、小学校6年生で帰国するまでアメリカ・ボストン、オースオリア・ウィーン、スイス・ジュネーヴと世界各国を転居したそうです。
日本の小学校に編入しても、日本が喋れず教科内容も全く理解できませんでした。1学期の通信簿は1、2、3ばかり、ところが2学期の通信簿の理科に、なんと「5」の文字が。先生が間違えたと思って申告すると、斎藤道子先生はニコッと笑って、「5って見たことないでしょう、小学校の記念にあげたのよ。」、両親や友達に嬉しくて見せまわったそうです。
その後も自分の生い立ち作文が全校で選ばれ、全校生徒の前で朗読したそうです。成績不良でグレても不思議でなかった森永さん、初めて味わった自信がやる気を目覚めさせ、その後東京大学を卒業したのです。
「5」をプレゼントしてくださった、斎藤道子先生の粋な裁量で現在の森永さんがあるのすから、育子園で行っている子どもの良いところを見つけて、褒めてあげる保育が子どもの自己肯定感・自尊感情を培うために一番大切なことです。
同連載には、元ソニーCEO(最高経営責任者)の井出伸之さんの小学校時代の思い出も載っていました。小・中学校を東京の成城学園で過ごした井出さん、小学校ではいわゆる教室での授業らしい時間など無く、通信簿もなく、先生から何か教えられたこともなかったそうです。
全て自主学習で子ども達が自らテーマを決めて調べたり実験したりという方式で、今まさに求められている課題解決型の学びをすでに行っていたのです。先生は徹底して子どもの個性を大切にして、記憶などの詰め込み教育は無く、全て子どもが自己責任で考える毎日で、野球やベーゴマ、メンコなどの遊びの中から社会ルールを学んでいくのです。
先生は自由な雰囲気の中でも、子ども達が軌道を外れないように温かく見守っていたそうです。
今は小さなことでも保護者が学校に抗議し、親主導で塾通いをしている子どもは受け身の詰め込み教育に追われています。教科成績が最優先され、一度失敗するとレッテルを張られ、就職は4月一括採用という方式を再考するヒントとして、お二人が過ごした自発的な学校生活に倣うことは沢山あります。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ