【福島の保育園リポート】原発事故の影響で閉園した保育園
2012年06月25日 月曜日
杉並区私立保育園連盟の園長会で福島市の保育園へ視察に行ってきました。、原発事故のために苦しんでいる方々の思いや願いを伺ってきました。
さくら保育園の園長先生は、
福島で先月開催した保育団体主催の市民講座で、放射線防護学者の安斎育郎先生から正しい知識を学ぶ機会がありました。今では園のアドバイザーとして放射線と子どもの生活や対応を教えていただいているところです。職員全員が学びながら、保護者と一緒に辛さを話し合い、線量計で園内外を測定しています。
本保育園は福島第一原発から60㎞離れています。近隣には風光明美な花見山があり、野山を散策できていた過去の日々があったことを毎日思い出さずにはいられません。定員は90人ですが原発事故後から子どもの数が減少し、現在は79人お預かりしています。園庭には大きなリアルタイムモニタリングポストが設置され、保育園が放射線測定の業務を行っています。やっと今年3月に各保育園に食品放射能測定機が届き、測りながら給食調理をする生活が続いていますがいつまで続くのかと思うと様々な思いが駆け巡ります。
昨年6月、ようやく園庭の表土を削りましたが、その土は園庭の隅に大きな穴を掘って防水シートを張った中に埋めてあるだけです。園舎周辺にはペットボトルを置いて少しでも線量が下がるように取り組んでいます。雪は線量を軽減するという情報がありましたので、雪が降った日は雪の積もった園庭を子ども達が本当に楽しそうにはしゃいで歩いていた姿が印象的でした。
子ども達の体と心を見守る医療体制はすぐに整備されなければなりません。子ども達の未来に不安を与えるモノは大人の役目として排除していかなくてはなりません。
福島市内では原発事故以降に子どもが来なくなり閉園した幼稚園や認可外保育園があります。保護者は放射線量の高低で入園する園を選んでいるのが現実で、定員割れの園が数多くあります。保育園や幼稚園運営にとって充足率は大きな問題ですから福島市に訴えて、原発事故被害による定員割れは子ども一人当たりの単価を増額してもらうことになりましたのでどうにか運営しているところです。
最後に、福島へ杉並区の保育園長が訪れてくれたことは本当に有り難いことです。現場へ足を運んでいただいたことに御礼を申し上げます、とおっしゃってました。同じ保育者として現地に伺って、ひざを交えてご苦労の一つでも教えていただくことはとても大切なことです。来年もまたその次の年も福島そして東北の保育園を訪ねたいと思っています。
1泊2日過ごした福島市を後にして、みちのくの入口「白河」へ立ち寄りました。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ