大規模災害発生時、むやみに移動を開始しないこと
2012年06月08日 金曜日
東京都民間保育園協会主催の研修会、「東京都の保育行政及び指導検査」の後半です。
東京都としても保育者の人材確保が大きな課題と分析していてます。保育士資格者の減少もさることながら、せっかく資格を取得しても50%は別の仕事を選択しています。3万人ともいわれる都内にいる、「潜在保育士」をいかに掘り起こすか。都も就職支援相談会・研修会や保育園の就職相談会を行っています。今年は都主催で中野区、練馬区、足立区等の勤労福祉会館で就職フェアを行なわれます。
首都直下等の地震に関して、都内保育園建物の耐震化は77%に留まっています。理由は工事期間中も休園できない業種なので仮園舎等の建設費用や用地確保ができない法人が多く、それに対する補助金も検討し2020年の100%化を目指しています。あと8年あるわけですが、いつ発生するかわからない首都直下等の地震に備えて待ったなしの状態です。
3.11当日の都内大混乱を繰り返さないために、「東京都帰宅困難者対策条例」が2013年4月から施行され、公共交通機関が止まり多くの帰宅困難者が発生した場合は、むやみに移動しないこと、従業員向けの3日分の飲料・食料の備蓄、保育園も子どもの安全確保を提唱しています。
保育所運営を行っている社会福祉法人指導権限の区市の移譲が始まります。2013年4月から各区市に法人指導検査権限が委譲されるのですが、施設が2区市にまたがっている法人は除外で、≒1,000法人の内、≒700法人が対象です。社会福祉法人経営適正化事業として、役員機能の強化や課題のある法人の早期発見、早期対応につとめ適正な運営支援事業も行われます。
都は財務分析指標の平均値を活用した財務分析計算シートを開発しています。目的は流動比率、純資産比率、労働分配比率などの分析を行って安定的経営を図るためです。経営の原則は社会福祉法第24条にありますが、効率化と適正化、経営基盤の強化を図り透明性を向上されることが求められています。特に理事会の形骸化が懸念され、監事の役割として財務諸表等監査ができる人材であることが求められています。
東京都における福祉サービス第三者評価の方針は、定期的かつ継続的に行うこと、3年に1回以上の受審を求めています。実施することによって、新たな気づきや利用者の意向把握、経営の視点、事業改善のヒント、事業所の強みをPRできることです。社会福祉事業を行っている法人は平成26年までに新会計基準に順次移行することになっています。
質疑応答では、
質問:病児病後保育を拡充するのもよいが、病気の時ぐらい家庭で過ごせる東京都になっていくことが大切ではないでしょうか。
回答:確かに病気の時は親元で過ごせる社会が望ましいのですが、単親家庭の増加に伴い仕事を休めない現状があるので、施設を増加せざるを得ないと考えています。
質問:職員が集まらない、定着しない理由の一因として給与が低いことがあげられるが、福祉業務に従事する人材の処遇改善として東京都は人件費補助を上げる対策は考えているのですか。
回答:給与が低いことは課題として挙がっていますが、まずは3万人の潜在保育士の発掘に主眼を置いています。
(文責:園長)
中野ZEROホールで行われた今回の研修会ですが、乳幼児に関する待機児童対策、保育士不足対策、震災対策、病児病後児対策など、尽きることはありません。保育現場で目の前の子ども達にを見守ることと、目の前にいない子ども達のことも想像できる保育者になっていきたいものです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ