Airy room:風通しの良い部屋
2012年04月24日 火曜日
保育関連業者は星の数ほどあります。特に近年はインターネットショップで躍進している業者も相当数ありますが、単にモノを売り買いするだけの関係はそこまでのこと、ということを最近の事例でつくづく感じています。
過日、来園していただいた、㈱シーズ製品設計さんとのやりとりは、保育園と保育関連業者の将来関係像を考察する上でとても有意義なものとなりました。シーズ製品設計さんとは2010年盛夏、新宿せいが保育園藤森園長先生主催のドイツ・ミュンヘン保育視察ツアーでご一緒してからのお付き合いです。以前にブログ(2011.4.13)でも紹介したとおり、
現場の保育士や子どもの動きを見て、聞いて共に製品設計と製造を手掛けている点が差別化のポイントです。日々の保育現場にとってどんな仕様の保育備品が快適なのか、様々なアイディアを本音で出しきるのです。今回は1歳児クラスの保育室≒140㎡の中で使う、「間仕切りドア」がお題です。各種保育業者カタログやネットショップも検索しましたが、コレだっというものが見つかりません、そこでシーズさんの登場してもらいました。
17時ごろから1歳保育室現場で1歳児全体のエアリーと担当保育士等と共に、約2時間半にわたって子どもと保育者にとって使いやすいか、子どもの発達過程に応じて年中保育室内のレイアウト変更は行われるので、汎用性があるものが良いなどブレインストーミングで語り合いましたが、今一つコレだという製品案は出ませんでした。その後、3階の3~5歳児グループからの要望があった、ブロックゾーンで使う制作デスクの設計落とし込みも行いました。
★エアリーとは、Airy room:風通しの良い部屋、のように保育者間のコミュニケーションをさらに活発に充実できるように今年度から取り入れた呼び名です。各園には保育主任や年齢責任者等の呼び名がありますが、どうしてもビラミッド型の組織運営になりやすい職場風土が保育業界にはありますから、年齢や経験などという狭い枠を取払って、自分の意見と他者の意見を本音で出し合えるように、風通しの良い職場人間関係づくりのために、あえてエアリーと名付けました。エアリーはメンバーの意見を引出していくファシリテーター役なのです。
3階の話し合いが終わって1階ロビーに戻ったところ、1歳児のエアリーからさらに発展的なドア構造提案がありました。私もその案を聞いて、これはほかの園でもニーズがある製品になると感じた構造でした。後日製品が出来上がってくるのが楽しみです。
このように現場の意見をふんだんに盛り込んだ新しい商品開発がされ、他の園でも活用される商品が世に出るとさらに改良版ができて、使い勝手が向上していくのでしょう。昨年、ドイツ・ミュンヘンへ保育施設研修に行った際にも、この業者の方々は、現地の保育園や幼稚園で熱心に備品の写真や寸法を記録していましたので、職員会議に来てもらって、商品開発現場の様子や育子園での課題などを語り合う研修していただきました。
2012年の同社カタログには育子園で提案作成した、保育が手提げで移動できる子ども用靴箱や机の上に飾り棚も付いた造形用シェルフが写真入りで掲載されています。今後も様々な話し合いができる園と業者の関係を深め、子どもにとって居心地の良い保育環境設定を行っていきます。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ