宮崎駿監督の保育園とは
2012年04月23日 月曜日
今国会で審議予定の、「子ども・子育て新システム」について同ワーキングチームに参画している、東京大学名誉教授・白梅学園大学学長の汐見稔幸先生が解説と将来日本の保育像を考察する学習会の続編です。
人類史上、子どもは家とその周りで体を動かして発達してきました。宮崎駿監督は自身の最終仕事として保育園を作りたいとおっしゃっています。そのイラストには平らな床面がない保育室が描かれています。日本は奈良時代にたくさんの道ができましたが、道はでこぼこだったのです。人間の身体能力は凸凹や斜面があることによって、発達してきたのですから宮崎監督の発想はそれに合致しています。
東京の高層ビルに飽きを感じるのは自然物と正反対の物体だからです。大脳皮質は自然のものを見て脳処理をするのですが、ビルなどの人工物は直線的なので再計算しないと受け入れられないのでしょう。自然には真四角や直線など存在しないのです。町田のDV防止を進めている団体の建築内装物に直線は一切ありません、全て曲がった素材を使っています。人工物は人間を興奮させるという調査があるように、人間の自然性を確保する街づくりが大切で人間内の自然と外部に自然が無くなると人間はおかしくなるようです。
発熱によって殺菌する人間力、自然による教育は人間が行う教育を超えています。子どもの中にある自然とは何でしょう、自然に根差した保育文化が重要です。新システム論じられている今こそ、幼稚園は是非とも0歳からの養護と教育を考えていくことを提案します。子どもの育ちにとって益々困難な時代になっていくと思います。0~2歳の豊かな保育環境をいかに設定するか、保護者に良いアドバイスをしていくかが課題です。
新システムをめぐっての議論はとても大切なことで、戦後以来やっとのことで実現しました。今回のように幼保間の議論ができたことは画期的なことで、幼稚園の存在を前向きにとらえていくことが求められます。地域型保育園と大型保育園が平等な収入を得られるようになることが喜ばしいことで、分園等の促進が期待されています。(文責:園長)
お話を伺って、宮崎監督の凸凹保育室に賛同します。保育施設をバリアフリー化することは子どもの発達を促すことと逆行していることになることを改めて感じました。
以前にこのブログで紹介した老人介護施設の取り組みです。
山口県に画期的な老人介護施設があります。そこには介護業界関係者が年間800人も見学に訪れているというのです。
その施設の特徴は、バリアフリーではなく「バリアアリー」の室内。一般的な介護室には歩行補助のため廊下に手すりがついていますが、なんと様々な大きさのタンスが陳列してあるのです。利用者は高さや出っ張りの違うタンスのどこを支えにしたら良いかを考えながら歩行していました。そして、エレベーターを設置せずに階段で歩行機能を高めているのです。
このことは歩行を確立する時期の子どもにも適応されます、育子園の0・1歳児の保育室にはあえて凸凹の階段遊具を設置しています。園庭も真っ平らなグランドではなく、起伏にとんだ山野のような造形が不可欠なのです。グランドは学校へ行ってから各種スポーツ競技を行う時だけで十分です。たとえばゴルフ場も同様で、ゴルフ発祥の地セントアンドリュースオールドコースは、自然のうねった大地に強風が吹き付け様々な表情を見せるリンクスだからゴルファーのチャレンジ意欲を掻き立てるのです。ゴルフ練習場のように真っ平らのコースはリピーターはほとんどいないでしょう。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ