遊びのミュージアム開館
2012年03月28日 水曜日
3月24日土曜日は4月新年度準備で職員全員出勤して園舎内ほとんどのレイアウトや備品大移動を行いました。0~2歳児エリアは間仕切りを変更し、子どもの発達に合わせたレイアウトを担当職員がディスカッションしながら設定していました。
3~5歳児120人のエリアは、子ども主体・子どもの保育をダイナミックに展開できるように大幅な変更をしました。変更コンセプトはいわゆる日本型の大人主導年齢別一斉保育の環境(人的・物的)では、発想すらできない考え方で、一言で言うと、「遊びのミュージアム」的な環境設定です。それは東京渋谷にある東京都児童会館(残念ながら、耐震上の理由で2012.3.31で廃館、47年間の歴史の幕を閉じます)のようなイメージです。子どもがその日、その時に遊びたいと思ったコーナーやゾーン、エリアに出向いてじっくり遊べるように子ども一人ひとりの意思で自由に館内を移動できるようにしました。
たとえば、2階は制作活動専門ゾーンと昼寝ゾーンを設定しました。2階には幅2m、長さ30mの巨大なベランダがありますから、水を使った制作遊びや今後はノコギリや金づちで木工制作ができるようになるかもしれません。3階は子ども120人+大人20人分の大ランチスペースが出来上がりました。
3~5歳が様々な子ども達と大人と触れ合いながら食事を楽しむスペースです。人は大勢で食事をすると食欲が増すことが立証されています。さらには残食も減ることが予想されます、今年度までは40人×3ランチスペースに別れて食べていましたので、各スペースによってはご飯が足らなかったり、おかずが余ったりして、2・3階双方で電話連絡して職員が運び合っていました。今後は同じ場所で食べることによって都合をつけやすくなると思います。
更に3階にはキッザニア東京を模したゾーンができる予定です。卒園遠足でキッザニアにいって体験した様々な職業の衣装を用意してごっこ遊びを発展していけそうです。このように○○クラスとか○○グループの保育室だけにとどまらずに子どもがやりたいことを十分に保障できることは、子どもにとってどれだけ幸せなことかはかり知れません。
このような発想と実践ができるのも、「子ども主体・子ども中心の見守る保育」が本当の意味で浸透してきたからです。保育者は自分のクラスやグループの子どもだけを保育するなどという、次元の低い発想ではありません。職員70人は育子園に居る200人の子ども全員を担当するという気持ちで取り組んでいます。言葉では言えることですが、実践しよう、実践するということを職員自ら話し合い実行できたことは「希有」なことといえます。クラスの担任から園全体の担任へ、そして日本中の子ども達の担任、さらには、「見守る保育」の主宰者、新宿せいが保育園の藤森園長先生は、『世界の子ども達の担任』というグローバルな視点です。
このように子どもが自ら遊びを選択して、「遊び込む」経験を十分に重ねることで集中力が養われていきます。2年前に海外保育研修で訪れた、ドイツ・ミュンヘンの保育園も年齢別保育等行っていません。園舎内には楽器演奏部屋、科学室、リラックス室(朝からごろごろできる部屋)、アトリエなどがあり、保育者は1週間交代で各部屋の担当をしていました。クラス担任などという狭い発想自体無いのです。それが世界標準の保育ですから、日本は携帯電話と同様にガラパゴス保育と揶揄されているようです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ