「5S活動」で育子園は生まれ変わる
2012年03月27日 火曜日
新年度まで残り1週間に迫った3月24日(土曜日)は職員全員出勤し、保育を行いながら新年度準備で園舎保育室内の大掃除とほとんどの備品の大移動を行いました。
土曜日にこの作業を行う理由の一つは、登園している子ども達に職員が大掃除をしたり、皆で力を合わせて大きな備品を持ち上げて移動したり、上手くいって皆で拍手をして讃えあう姿を見ることで、子ども達が居心地の良い保育環境設定作業を職員が行っていることを見て知ってもらうことにあります。
大人が額に汗して働く姿を見せることは子どもの社会性を培う上でとても重要なことなのです。来年度末の大掃除・大移動は2013年3月23日(土)、登園しているおおむね3歳以上の子ども達にも手伝ってもらおうと考えています。
26日からは0歳児クラスは⇒1歳児クラスへ、1歳児⇒2歳児へ、2歳児⇒3~5歳児グループへ移行します。年長児は自分の好きな場所で自由に選択して過ごせるようにしています。保育所保育指針の発達過程がほぼ完了している年長だからできることなのです。
このように多くの保育園で1週間前に移行する理由は、4月初日は新入園児と保護者約100人が初登園して園内は一年間で一番、落ち着かない状態になります。それに加えて在園児も一斉に移行することは子どもへの負担が大きく実務上不可能だからです。新入園児が来ないうちに1週間かけて一人ひとりの子どもが新しい環境に適応できるよう丁寧に見守るためなのです。
今年は新たな試みとして、作業前に1階ホールに集合して、日本経済新聞社「これで納得!職場の5S」DVDを見ました。このDVDは職場内の環境を爽やかに変革していける「5S活動(サ行ではじまる言葉)」として、①整理 ②整頓 ③清掃 ④清潔 ⑤しつけ(習慣化)することで、「気づきの心、感謝の心」まで醸成できると提案しているのですから活用しない手はありません。
法人本部でも始まっているこの取り組みを子ども達が日常的に生活している育子園で実践することは、働いている大人の働きやすさだけに留まらず、大人が「5S活動」を実践すること、①~⑤の手本を示すことが子ども対してとても良い影響を与えると考えたからです。保育は子どもを観察することから始まると言われますが、じつはその反対で、「保育は大人が子どもから観察される」ことだと思います。幼少期に5Sを習得しておけば、大人になって啓発DVDを見なくても自発的に狭い国土を有効活用できる国になっていけそうです。
日ごろ大人は子どもに対して、「○○は元あった場所に片付けなさい」、「この○○では遊ばなくなったから捨てますよ」などと言っているようですが、多くの職場や家庭では大人のほうが実践できていないようです。育子園でも子どもの発達に応じて子どもが玩具を出したり元の場所に戻しやすいように、玩具箱に絵や写真を貼っていわゆる、「見える化」を実践してますが、手本となるべき大人はどうでしょう。
「○○はどこにありますか…」、「前に置いてあった場所に○○が見当たらないんですが…」、「○○にモノが溢れて、狭くて使いづらくなってきて…」、などの会話をしています。そして、本人だけでは解決できずに情報を聴きつけた何人かが、「たしか、○○は昨日ここで見かけたような…」、「この奥のほうに○○はあるかもしれない」、「そうだ、○○さんがさっき持って歩いてたかも…」などと不確実な話を、それぞれ「ツイート」しながら今日も捜索活動が展開されているのしょう。これも職場内コミュニケーションの一つだと解釈すれば、効果的な活動ですが…。
「♪ 探しものはなんですか、見つけにくいものですか… ♪」、陽水の詩のように諦めて夢の中へ行けるのであればよいのですが、仕事はそうはいきません。
ある人に言わせると、「人間は一生のうち半分を探しモノに費やしている」、こんな極端な揶揄まであるように、自分の夢を探したり、ネット検索する前向きな時間はいくらあっても良いのですが、職場や家庭で見つからない物品等を探す捜索活動時間は短縮したほうが良いのは明白です。世界で最もモノが溢れている日本、モノを探す無駄、余剰品の無駄、スペースの無駄が常態化しトータル的な経済活動の足を引っ張ているようです。代々のお金持ち家はきちんと整理・整頓されているように…。
「断捨離」がブームになり整理・整頓することで気分爽快、調和、少欲知足(しょうよくちそく)へと昇っていき継続的人類活動を思考しようとしているのは真理なのでしょう。
無駄な「捜索」時間を、「そうさく(創作)」時間を費やせれば、業務効率は飛躍的に上昇し、人生そのものがさらにクリエイティブなモノになるようです。
「5S活動」では整理・整頓5段階のコツとして、①1年に1度も使わないモノ⇒捨てる。 ②半年・1年に一度使うモノ⇒事務所外に置く。 ③2カ月から半年に1度使うモノ⇒事務所内にまとめて置く。 ④毎週1度は使うモノ⇒自分の作業領域に置く。 ⑤毎日一度は使うモノ⇒各自が身につける。を提案しています。
このことを改めて考えてみると、たとえば毎日必ず使う筆記用具は身につけている職業人が多いはずです(わざわざ倉庫に保管する人はいないでしょう)。さらに利き手で取り出しやすい場所に、定位置で持ち歩いていることでしょう。人類の約90%が右利きですから既成アパレルは左胸にポケットが作られ、右手で取り出しやすくなっています。左利きが50%だったら、両胸にポケットがあるのがスタンダードだったかもしれません…。それとは対照的なモノとして、「いつかは使うかもしれない(今世は使わないモノかもしれません)」モノが、曲者と言えます。
また、職場ゾーンごとの5S担当者を配置することで職場全域が活性化していきます。ただし、そのゾーンで日ごろ仕事をしている人は担当者ならないほうが効果的だと思います。多くの場合、他者から見ると改善案が見いだせることも、当事者はその風景が当たり前で自分では気づかないことが人生の中では相当あるからです。
ちなみに育子園園長室の5S活動担当者は、私ではなく最も活動熱心な職員になってもらいたいと育子園の衛生管理者(労働安全衛生法に基づき、50人以上の従業員がいる育子園には衛生管理者資格職員と同法人佼成病院の産業医がいます)に提案しようと考えています。
そして、職員総力を結集した新年度準備が始まりました。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ