絶対に戦争を起こさないために、レッジョは創生された
2012年03月23日 金曜日
今国会で審議予定の、「子ども・子育て新システム」について同ワーキングチームに参画している、東京大学名誉教授・白梅学園大学学長の汐見稔幸先生が解説と将来日本の保育像を考察する学習会に参加しました。杉並商工会館で平日の夜間に行われた学習会には、老若男女の保育関係者が集いました。
汐見先生は、まず皆さんが新システムの正確な情報を学ぶことが大切です。今年2月13日に基本制度ワーキンググループの最終とりまとめに基づいて説明します。現在の日本における保育課題は何なのか、どんな子どもに育ってほしいのかを本気で考えることです。
とりわけ21世紀は人材が最も大切な世紀といわれています。世界の潮流は高度経済発展時代とは明らかにってきています、大切なのは石油ではありません、人なのです。なぜOECDがPISAピサ調査(生徒の学習到達度調査、Programme for International Student Assessment)やるのか答えは明白で、世界をリードする国々は、「どういう人材を育てるか」がその国の将来力、国力にかかっていると考えているからです。
中国は今後60基の原発を建設しようとしています。日本は今までも偏西風の影響で黄砂に悩まされていますが、今後は原発問題に恐怖を感じる時代になっていくかもしれません。原発建設は経済発展のためには仕方ないと考えているようです。
世界的に注目をあびている北イタリアのレッジョ・エミリア市で行われている、地域の共同保育運動アプローチ、「レッジョエミリア教育」は戦前レジスタンスの拠点だったこの地域で発生した理由は、悲惨なな過去を反省し、絶対に戦争を起こさない人間をつくるという平和への強い決意があるのです。
新システムの話に戻りますが、2月13日から修正作業が行われ3月2日の少子化対策会議で、新しい「こども園」の指定と監督は市区町村と明記されました。さらに都道府県もその責任を持つことにしました。民主党が鳴り物入りで導入した子ども手当は早くも見直され児童手当に戻ることになりますが、企業が拠出する比率が高くなる可能性がありますから注視が必要です。認証保育所は地域型こども園になります(20人以下)ので、肯定補助が増加します。
では、公立保育園は新システムでどのように変化するのでしょうか。現行では私立保育園は行政から各種補助金をもらって保育事業を運営・経営いてますが、多くの首長はその補助金を一般財源交付金化(行政が使途裁量権を行使)して減額したいと考えています。(文責:園長)
ここまでのお話を伺って、冒頭述べていらっしゃるように新システムの正確な情報を学ぶことが大切なのですが、未だ現に保育園・幼稚園を利用している保護者に対するプレゼンがなされていません。また、新システム案では保育現場の実務対応がどのように変わっていくのか明確化されていませんから安易に判断できない状況です。石油から人へ、高度経済成長から持続型社会へと潮流は加速していますから、この国でもたとえばレッジョのように、絶対に戦争を起こさない人間をつくるためのアプローチとして、特に0歳からの養護と保育を無償化する等、真剣に議論する時間はそう長くはあるとは思えない状況です。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ