通貨があるから未来を創造(創造)できる
2012年03月15日 木曜日
年長児の卒園遠足で訪れたキッザニア東京、キッザニアの中だけで通用する通貨「キッザ」という紙幣を介して様々な体験ができるのです。大きさは日本の紙幣と同じ位の大きさがあり、子どもが手にすると大きく見えます。キッザニアには銀行もあって、紙幣を預けたり、引き出したりできるのです。
さて、普段なにげなく当たり前のように使っている貨幣を媒介とした通貨システムはどのようにして発生し変化して現在に至ったのか、人間に最も近い哺乳類チンパンジーにも応用できるのか、NHKBS1で興味深い番組を放送していました。
人類史上初めての貨幣誕生はメソポタミアで、最初にお金として使われていたのは「麦」だったそうです。物々交換から麦のお金になったことで人々は結び付きは格段に拡がっていきました。交換するという行為は人間にしかできない行為で、チンパンジーにはできないのです。チンパンジーにリンゴとブドウを選ばせるとブドウを選びます。リンゴよりブドウのほうが好きなのでしょう。ところが、先にリンゴを持たせてすぐにブドウを差し出してもリンゴと交換できないのです。
その後ギリシャで貨幣としての純銀コイン、アテナイコインがヨーロッパに広がりました。麦はいずれは腐ってしまいますが、コインは永遠の安定が未来への想像、創造力を養う原点になりました。麦を給料としてもらっていた時代は、その日暮らしで貯蓄するという発想は生まれなかったのです。
長期的な生活設計をなしえるのが貨幣というわけです。
貨幣を取得することは集団からの孤立ではありますが、開放でもあるのです。当時の貨幣は純度100%に近く、アテネ郊外にある銀鉱山で銀を採掘しつくした結果アテネは没落したのです。その後ローマで考えられた、純度を下げたコインが現在の貨幣経済の基になりました。
紀元前2400年メソポタミアである制度が生まれました。自由とは借金からの解放、アマギによって奴隷は解放され、裕福な人々の欲望を抑える効果が生まれました。
アメリカ・ラスガート大学の実験、2人にくじを引いてもらい、リッチを引き当てた一人に50ドルを渡し、プアーを引いた人に30ドルを渡します。その後、50ドルをそれぞれに渡たし腹側線条体の状況を分析すると、プアーに50ドル渡したほうがリッチより喜ぶ感度が高いのです。
興味深いのは、目の前の人が喜ぶと自分も喜ぶという感情が人間には備わっていて、より身近な他者や地域社会が喜ぶことが自分の喜びと実感できるのです。その生態からすると、日本に居て地球の裏側の恵まれない人々が喜ぶ活動や未来の人類へ地球資源を残すことによる喜びは、本能的には遠い次元にあることになります。
たとえば3.11被災者やアフリカ貧困など、自分が知らない人々や将来・未来の人類のことを考える異体同心や同悲同苦、そこから実践された思いやりの輪が常寂光土へと広がっていくのでしょう。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ