定点基地の役目
2012年03月09日 金曜日
育子園で「見守る保育」を実践するようになってからの年長児卒園遠足は毎年、「キッザニア東京」に行くことにしています。理由は保育所保育指針の「おおむね6歳の発達過程」に記されています。
【保育所保育指針の「おおむね6歳の発達過程」】
「全身運動が滑らかで巧みになり、快活に跳び回るようになる。これまでの体験から、自信や、予想や見通しを立てる力が育ち、心身ともに力があふれ、意欲が旺盛になる。仲間の意思を大切にしようとし、役割の分担が生まれるような協同遊びやごっこ遊びを行い、満足するまで取り組もうとする。
様々な知識や経験を生かし、創意工夫を重ね、遊びを発展させる。思考力や認識力も高まり、自然事象や社会事象、文字などへの興味や関心も深まっていく。身近な大人に甘え、気持ちを休めることもあるが、様々な経験を通して自立心が一層高まっていく」
このように、おおむね就学前の子どもは保育者との関わりよりも子ども同士の関係性が一段と強まります。子ども自ら遊びを選択し、子ども同士でルールを決めたり、役割分担を考えるようになります。そのためには、保育者が一方的に遊びを選定するのではなく、子どもが選べる保育環境セッティングが不可欠です。
たとえば普段の園生活で行っている「ごっこ遊び」をキッザニア東京では仮想街並空間でリアル体験ができるのは魅力的です。友達数人で連れ添って同じ仕事を体験したり、一人だけで考えて一人で行動し勇気を出して体験する子どもなど、このように自分で考え行動しその責任も自分持ちです。キッザニアではそれぞれの仕事に適した衣装・作業着に着替えて仕事して楽しさや失敗を経験して給料をもらったり、習い事をして料金を支払う体験もします。
キッザニアに滞在した6時間弱、私はずっと同じ場所に留まっていました。出発前に職員から借りた、『赤ちゃん学 カフェ』という本を3冊読破したり、(日本赤ちゃん学会が発刊している本で、見守る保育の主宰者 藤森園長先生推薦の本です)、新聞朝刊に目を通し、館内はWiFiが通じるので諸々のPC処理をしながら、子ども達がキッザニアタウン内を散策している様子を見守っていました。
その間、述べ15人ぐらいの子どもが随時寄って来て、お金が溜まった嬉しさ、ソフトクリーム屋さんで自分が作ったソフトクリームを食べて美味しかったこと、トイレの場所が解らないで困っていること、思い通りにならなかったことを半べそで訴えたり、お弁当持参の子どもと一緒に食事をしたり(他の子どもはキッザニア内のフードコートで昼食を捕りました)、リックサック預かり場所など、定点基地の役割を果たせたようです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ