ボタンを留めてあげるね
2012年03月19日 月曜日
育子園の各クラスやグループの保育日誌には、日常の子ども達の様子が映像のように活き活きと表現されています。
なぜ保育日誌に子どもの具体的な言動を記しているかというと、全国の保育園が指針として使っている、厚生労働省『保育所保育指針』の「第4章 保育の計画及び評価」に、日常的な保育において、記録という行為は、自らの保育を意識化することです。一瞬一瞬、保育士等は、「このことはぜひ記録に残しておきたい」、「保護者へ記録を通して子どもの姿を伝えたい」、「仲間と一緒に子どもの育ちや保育のあり方を考えたい」など保育士等の思いとともに、子どもの姿を具体的に記述することが求められます。その際、子どもの内面の変化について職員間で話し合い、今後の方向性を探る時に、その記録が基礎資料になります。
ある日の2歳児クラス、給食が始まる頃の様子です。
セミバイキング給食の時、列に並びながら今にも泣きだしそうな○○君、服のボタンが留められないのが理由のようです。それを見ていた□□ちゃんが、ボタンを留めてあげましたが、その□□ちゃん自身もボタンが留まっていません。それを△△君が留めてあげました。
保育所保育指針解説書のおおむね3歳の発達には、
【基本的生活習慣の形成】
「運動能力の発達に伴い、食事・排泄・衣類の着脱など、基本的な生活習慣がある程度自立できるようになってきます。例えば、不完全ながらも箸を使って食べようとしたり、排泄や衣服の着脱などを自分からしようとします。
基本的な生活習慣がある程度自立することにより、子どもの心の中には、「何でも自分でできる」という意識が育ち、大人の手助けを拒むことが多くなります。自分の意思で生活を繰り広げようとすることは、子どもの主体性を育み、意図を持って行動することや、自分の生活を律していくことにつながります。」
本格的なセミバイキング給食(子どもが自らの意志で食べる量等をお当番の子ども等に申告する)は、3~5歳児グループになってから始まりますが、2歳児グラス少しずつ行っています。
列に並びながらボタンが思い通りに留められず悔しい思いをしている子どもに対して、自分の意志で留めてあげようとする子ども、それをフォローする子どもの存在。子ども同士の自発的な関わりの中に、人の役に立ちたいという子どもの優しさが伝わってくる一場面は居心地の良い保育の様子が伝わってきます。保育者は一人ひとりの子どもの存在を丸ごと肯定し、見守り、子どもの素晴らしさを感じているのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ