保育の一体化が進みにくい理由
2012年02月17日 金曜日
杉並区私立園長会学習会、「子ども・子育て新システム 保育現場から見た内容・方向性・課題」の続編です。
一般的に保育ニーズのある人以外は幼稚園と保育園の違いを知りませんが、それぞれが必要性あって成立し存続して現在も大切な役割を担っています。現に地方では幼稚園しかない町や、保育園しかない町もあります。字を教えてほしい保護者には、保育園しかない町では隣町の幼稚園に通うように教えてあげます。
鳴り物入りで始まった、認定こども園も全国で360園に留まっていますが、ここで問題なのは、幼稚園・保育園双方の基準を比べて、低い基準に設定しているのが子どもにとって大問題です。たとえば幼稚園は3歳児以上35人に対して保育者1人、保育園は3歳児20人、4・5歳児30人ですが、認定こども園は低いほうへ合わせて35人にしてしまいました。
世間一般の理解は、幼稚園は教育を行い、保育園は子どもを長時間預かってくれる場所だと思っています。新システムになると、保育園も「こども園」になり、教育をしてくれるから良いことだと勘違いしている国民が多いのが問題です。国が何一つ説明していなので仕方ないことですが。社会福祉施設である保育園の存在価値をもう一度見直すことです。
待機児童についての概念説明が不十分なので確認しておきますが、待機児童という言葉が使われ始めた当初は、認可保育園に入園したいのにできず他の保育施設を利用している子どもの数も待機児童にカウントしていたのですが、数が増える一方で行政責任を果たしていないので、カウント方法を変え、認証保育所等に入園できた数は除外してしまいました。ですから正確な待機児童数や解らなくなってしまったのです。各市区町村は50人以上の待機児童が発生すると、厚労省に解消改善案を提出しなければなりません。
23区内での事例として、育休明けの保護者が認可保育園に預けられずに認可外に入りましたが、入園後に誓約書を書かされた問題があっても告訴しないという内容でした。認可保育園に入れなくて本当に困っている保護者に救いを与えられるような取り組みを私立保育園が核となって行っていかなくてはなりません。
国主導の保育の「一体化」は問題が山積していますが、保育の「一元化」はあってもいいことだと思います。ここでいう「一元化」とは保育現場から湧き上がってくるものですから至極当然な流れです。一体化は国主導で現場のことを考えていない方向だから、保育関係者の猛反発を受けているのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ