大切な段ボール箱を探しに
2012年01月14日 土曜日
土曜日は40~50人の子どもが登園しています。午前中の園庭遊びが終わって給食の時間になりました。ところが一旦保育室に戻った4歳児が事務室にやって来て、「園庭の築山のところに段ボールを置いてきたから今から取りに行きたい」と真剣に話してくれました。
玄関のオートロックを解除して、「ここで見てるから大丈夫だからね」と伝えると、一目散に園庭へ走って行きました。水色の帽子が築山の周辺や砂場、ツリーデッキの下など右に左へと移動し、一生懸命に探しているのですがなかなか見つかりません。それでもあきらめずに探して、空中菜園の下にある道具置き場に段ボール箱があったのを発見した様子です。ネットをくぐって持ち出したのは、毎日飲んでいるミネラルウォーター10ℓの段ボール箱、嬉しそうに抱えて戻ってきました。クラスの保育者も玄関まで迎えに来たので、安心して給食を食べに行ったようです。
保育室には同じ段ボール箱が沢山あるのですが、その子とってはその段ボールが大切なのです。給食を食べることよりも、勇気を出して一人で園庭に出て行き、大切な宝物を探す冒険の時間を最優先したかったのでしょう。
築山の周辺にあると思ったのに見つからず、園庭の隅々を探し回って、大人に助けを求めず、あきらめずに、想像力をはたらかせて誰かが移動して置いた段ボールを見つけ出した達成感は、本人しか味わえないものです。けなげに一生懸命に集中して取り組んでいる姿に頼もしさを感じた時間でした。
今度は16時頃、5歳児がリュックサックを背負って事務室に入ってきました。いつもより早く帰るので尋ねてみると、「今日は僕の誕生日パーティーをするからお迎えが早いんだ、○君も来るんだ、何を食べるかも僕が決めた」。「楽しみだね、何を食べるの」と尋ねると、「チーズフォンデュ―!前にお母さんが作ってくれて美味しかったからね。○君にも食べさせたいから、スーパーで2つ買うともう1つもらえるから、お買い得なんだ」。
自分が食べておいしかった料理を大好きな友達にも味わってもらいたい、優しい心が伝わってきました。早めにお迎えにいらっしゃったお母さんは、「先日やっと保育参加ができてとっても楽しかったです。子どもが日曜日も育子園に行きたいといっている理由がわかりました。給食もとても美味しかったです」と嬉しそうにおっしゃっていました。
真冬の斜陽が残っている時間に、親子で誕生日パーティの話しをしながら帰る後姿は、寒さを忘れさせてくれました。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ