お風呂に入った葉っぱ
2011年11月21日 月曜日
暦の上では立冬を迎えました。東京地方は日中20度の日もありますが、朝晩冷え込むようになりました。この時季は、保育の中でも季節の移り変りを体験できることが沢山あります、園庭や散歩先の公園などで落ちが拾いやどんぐりを楽しんでいます。
ある日の3~5歳児グループの保育日誌にこんな記録がありました。
『3歳児の子ども数人が公園で拾った葉っぱを使って、画用紙に描いた絵と組み合わせて作品を作っていました。赤い葉っぱを見て、「どうして赤くなるの?」と尋ねてきました。「どうしてだと思う?」と言うと他の子ども達が、「寒いからお風呂に入ったんだよ」、「熱くなかったのかな?」、「だから赤いんだね」などと話し合っていました。季節の移り変わりの中で、葉っぱの色が変わったことに不思議さを感じているようです。子ども達の発想の豊かさを大事にしていきたいと、改めて思いました。』
保育室で子ども達と保育者の、ほのぼのとしたやり取りしている情景が浮かんでくる文章です。最初の問いに対して職員が簡単に答えていたらどうなったでしょう。あえて答えを言わなかったからこそ、子ども同士の会話が発展し豊かで柔らかい想像力、を引き出せたのでしょう。「あえて答えないこと」が実は大切なことだとつくづく思いました。
また、他の3~5歳児グループの日誌には、
『年中の子が、「信号を作って!」と言ってきました。大人は信号と言えば三色の信号だと思ったのですが、その子は歩行者用の信号を作りたかったのです。大人の思いこみを反省させられました。
今日は2歳児が遊びに来ました。室内ブランコ付近に居る2歳児に対して、「ここに居ると危ないから、こっちにおいで」と誘導してくれる3歳児、子ども同士で判断したり、教えてあげたりできる環境をこれからも大切にしていきたいと思いました。』
信号の事例を通して、大人の思いこみや刷り込みの強さを痛感させられたやり取りです。この日、このグループの保育室に行ったら、歩行者用信号を見せてくれた子どもがいました。縦型の信号で人が歩く姿と止まっている姿は本物の信号機のような出来栄えでした。この日誌をあとで読んで、あの信号はこんなやり取りがあって出来上がったのだと解りました。
また、遊びに来た2歳児に3歳児が教えてあげたシーンは、子ども同士の協同的学びの典型例だと思います。大人が言うのは簡単ですが、先に学んだ子どもが次の子どもに教えてあげることがとても大切なことで、脳の活動をアップさせる関わりなのだそうです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ