保育現場のメンタルヘルス
2011年11月07日 月曜日
保育現場のメンタルヘルスについての研修に参加しました。40年間、保育現場の職員と接している講師さんによると、人間生きている限りストレスがなくなることはありませんが、職場の雰囲気づくりによってストレスを軽減できることがあります。
保育者の仕事は、「子どもとコミュニケーションはかる」ことが仕事ですから、保育の喜びは子どもとのコミュニケーションが円滑にできている時です。保育者は利用者とコミュニケーションを図るために、想像以上に大きな「心のエネルギー」を注ぎ続けていることを自覚していません。
保育者は、「子どものため」にいう情熱と気持ちを持ち続けることによって疲労感を感じなくなってしまい、ある日突然起きれなくなり仕事を長期にわたって休んでいる保育者が全国には沢山います。一人の保育者に精神的・肉体的負荷がかからないように、全年齢が「複数担任制」によるチーム保育が不可欠です。そして何よりも大切なのは、園の理念がしっかりしていることです。
保育環境悪化の要因の一つは40年間全く改善されていない国の保育士配置基準です。各保育園とも長時間保育や資料作成等労働条件が悪くなっていくばかりで、特に都市部では待機児童対策の名の下、定員の弾力化で定員超える子どもを受け入れざるを得ない状況は子どもにとっても、保育者にとってもストレスがたまる一因です。
本来の保育目的である、「一人ひとりの子どもの心を聴き、寄り添う」というゆったりした時間が持てなくなっています。以前は朝9時から5時頃までの保育時間が一般的でした。朝、子どもをお預かりした職員が夕方のお迎えまでいて、保護者に引き渡すことができたのですが、長時間保育のニーズが高まり、受け入れをした保育者がお迎えの時間にいなくなるという職員ローテーション・時差出勤をせざるを得ない環境下になってしまっています。これは保護者にとっては担任に会えないという課題と、職員にとっても全員揃って話し合いができないという悪環境になっているのです。
保育業務の精神疲労は、職場を離れてからも持続されるという特徴があり今後も大きな課題になると予想されています。また、一人の保育者に対する労働強化で、自分のことで精一杯になり他人へを思いやるゆとりがなくなってきます。余裕がある職場の目安は、雑談ができているかどうか、抑制した気持ちを職場内で出せているか、要領よくできない保育者をゆるせる雰囲気と余裕があるか…。子どもは子ども同士の関わりの中で発達するように、保育者同士の支え合いの中で再生できるのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ