労働蓄積を認識しにくい保育現場
2011年11月18日 金曜日
現代社会は時間に関係するストレスが増幅し、時間に追われて毎日を過ごしています。日本ほどスピードアップと24時間社会がワンセットで進んでいる国はありません。日本の労働問題の特徴は、「川の上流で害薬を垂れ流し、川の下流で問題が噴出する」ことですから、国がきちんと労働問題に取り組まないと、長時間保育・休日保育・夜間保育などの限界を超える保育をしても根本的解決になっていないのです。
ある自治労連のストレス調査結果の特徴として、保育士と女性事務職を比較すると、保育士は仕事量が多い、自分のペースで仕事ができないのですが、職場に働き甲斐は感じています。保育士のようなヒューマンサービス労働の特徴として、疲労蓄積が進んでいても、「労働意欲の低下がおきにくい」という極めて危ない環境にいると分析されています。子どものために辛くても一生懸命やることが長期間続くと、予備力がなくなり何かのきっかけで医療機関に長期間かからなければならない状況に陥りやすいのです。
保育職場の仕事は始めるときりがない業務が多くありますから、その負担度をいかに減らすかが、最大のストレス対策といえます。子ども、保護者、職員間の共感的環境づくりのためにも仕事の見直しをして、「仕事量の限界を見極め」やらなくてよいことを減らすことです。たとえば、保育現場では休憩時間も取れない園が多いので、休憩時間を取るためにはどうすればよいかという職場はみごとに改善されました。
ある特別養護施設で1996年には、頚腕や腰痛で一か月以上休業する職員が年間7人もいました。職員が話し合い、今までやっていた行事や会議を根本的気に白紙から見直して、休憩時間が取れるようになり、2002年以降は休業者がゼロになったそうです。このように保育現場の、「すりこみ」をいかに打破していけるかが働きやすい職場環境を醸成し、子どもにとっても過ごしやすい場所に変化していくのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ