いくら言っても伝わらない理由
2011年10月18日 火曜日
全日本私立保育園連盟主催の保育カウンセラー講座で、「メラビアンの法則」のロールプレイング体験をしました。心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した法則ですからちょうど今年が40年目になります。一般的コミュニケーションにおいて、相手に伝わる度合いを、「言葉」、「話し方」、「態度」に分けて分析すると、
「言葉」…7%
「話し方」…38%
「態度」…55%
となるのだそうです。驚きなのは言葉・言語は全体のたった7%にとどまっているということです。たとえば電話対応の場合は言葉だけの対応ですが同じ%になるのか知りたいところです。このように、いくら巧みな話術で相手を説得しようと思っても、言葉だけでは相手に伝わらないのです。
話す速度、声の大きさ、抑揚、間の取り方等で約40%を占めています。態度は、笑顔や表情、服装等はTPOに合っているか、信頼できそうか、姿勢はどうか、しぐさやジェスチャーは好ましいか等でしょうか、それが半分以上を占めているのです。話した内容よりも、耳と目からインプットされる情報が93%にもおよぶのですから、日ごろの所作振る舞いがいかに大切かということが解ります。
また、信頼関係を構築できるかを大きく左右する第一印象は、一説によると初対面の15秒間で決まるというのですからもっとシビアです。15秒間で印象が決まり、メラビアンの法則でさら判断されるのですから、一瞬一瞬の出会いをいかに大切に丁寧にできるかがその人の人生までも左右することになるのでしょう。
「目は口ほどにものを言う」という、ことわざにいたっては喋らなくても考えていることが相手に通じてしまうというのですから、人間の心理状態を知ると、保育の現場でも子どもにどのように接することが大切かおのずと答えが見えてきます。ある保育者の足音がするだけで、子どもが静かになるということを聞いたことがありますが…。
さらには、「子どもは大人の言ったとおりには育たない、大人のやったとおりに育つ」と言われます。大人同士でも7%の影響力しかない言葉を、語彙が未熟な子どもに対して言葉で伝えようとしても無理があります。残り93%を占めている大人の声や態度がどのように子どもに映っているか大人は考えるべきではないでしょう。子どもに伝えたいことは優しく、穏やかにゆとりを持って接することが最も効果的なようです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ