顔晴れ 東北のみなさん!
2011年07月12日 火曜日
先般11日間ほど、釜石方面へ行く機会を頂いた。役割は、この度の東日本大震災による法人本部に属する現地の会員の安否確認である。釜石の7地区のうち内陸部を除く6地区が被害に遭い、私はその一つ、大船渡・陸前高田地域に入らせて頂いた。
初めに、現地のこれまでの状況を伺った。「3か月が経ち、街のガレキは徐々に撤去されているが、一人ひとりの心のガレキはまだまだです。今、集中治療室から出て、リハビリを始めたようなところです。笑えないし、泣いてもいられない。ただただ、その人の心に“寄り添う”しかありません。」その言葉を聞いて、これから出会う方々に少しでも安らぎを与えて上げられるようなふれ合いを持たせて頂こうと強く心した。
初日から、早速、現地の人と一瞬にして変貌してしまった街中を回った。同行してくれたAさんは、「私の夫は車に乗ったまま津波に流されました。でも潜水経験もあったので、すぐに車のドアを開けず、慌てず、水が殆ど入ったところで脱出でき、助かりました」と話された。まさに奇跡的である。またBさんは、港近くで写真館を営んでいて、ご主人が家族をみな2階へ避難させたが、最後、ご自分が間に合わず階段下で亡くなられたとの事。涙無しではとても聞けない。そのお宅の前で、静かに掌を合わせた。~「わが家が流されていくのを見ながら避難しました…」「家族で髙台へ避難していたが、ふと後ろを振り向くと妻がいなくなっていました…」と。まさに、一人ひとりには想像を絶するようなドラマがあり、無言で聞かせて頂くしかなかった。
時折、様々な情報が入ってくる。遠く石巻の海岸で家族が(しかも、おばあちゃんと孫が一緒に)見つかったらしい。さらに「見つかっただけでも有り難い!」と言われ、一瞬驚いてしまった。“有り難い”の意味合いというか次元が違う。不思議な気持ちになった。
帰京する前日、またまた奇特な出来事があった。被災された方に本部からのお見舞い金をお届させて頂いたが、最初なかなか遠慮して受取られない。ようやく受取ってもらえたが、しばらくして、その方は、その見舞金に上積みされて「お布施です。どうぞよろしくお願い致します。」と逆に手渡されてしまった。どこまでも清らかで信心深いお方であり、私もその方のようになりたいと思った。
今回は本当に、様々な貴重な体験をさせて頂き、とても有り難い気持ちになった。これからの自分の生活に多くの教訓を頂けた事に感謝します。岐路、車窓から見えた手書きのひとつの大きな看板『顔晴れ、岩手!』がとても印象的だった。(N.S)
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