羊水のような保育園
2011年06月03日 金曜日
渋谷区代々木の国立オリンピック青少年総合センターで行われた、東京都社会福祉協議会の保育研究大会に参加してきました。小田急線新宿駅から鈍行で2駅目の参宮橋駅、大会に参加する人で商店街が溢れかえっていました。
全体会の講演で、慶応義塾大学医学部小児科の渡辺久子先生が「思春期を見据えた乳幼児期の心育て」と題して熱弁をふるっていらっしゃいました。渡辺先生は、小児科医、乳幼児・児童・思春期精神科医で、思春期やせ症、被虐待児、人工授精児、自閉症、PTSDなど、現代工業社会の中で、複雑な葛藤に生きる子ども達を医療面で支援している方です。また、平成20年、アジアで初めて開催された世界乳幼児精神保健学会第11回世界大会の日本組織会長の大役を務められた方です。
冒頭、日本の医療は世界で最も、「過剰診療、過剰投薬国」であり、とても恥ずかしい国です、と一刀両断。「思春期やせ症」の増大を大変危惧していらっしゃいました。成長期の子どもの体重が減るということは重大なピンチで、小・中学生の女子に多い思春期やせ症(小児期発達神経性食欲不振症)の判断基準は、①頑固な拒食、減食。 ②はっきりした身体疾患が無いのに、体重増加不良、または減少がある。 ③体重にこだわる、カロリー摂取にこだわる、スタイルにこだわる、太ることを怖がる、自分で吐く、運動しすぎる、下剤を使う。だそうです。
女性は初潮を迎えるころになると、女性ホルモンの分泌が盛んになって、丸みをおびた体つきになってきます。「ちょっと太ったかな」と思っても、あわてて無理なダイエットをするのは、女性ホルモンの分泌をストップさせ正常な発育ができなくなってしましまい、不妊症の大きな原因になるのでそうです。イギリスでは極端に痩せたモデルは認められません。
拒食症の方はパーフェクト主義が多く、育児も完璧にこなさねばならぬと自分で自分を縛りつけてしまう傾向が顕著です。
子どもの手を握ってみると、拒食症の子はすぐわかります。大人より手が冷たく、乾いている、脈拍60以下は注意信号だそうです。
保育園に望むことは、人間が一生で一番居心地がよいとされる、お母さんのおなかの中のような保育園です。赤ちゃんがおなかの中で居心地のよかった「羊水」のような場所でいてあげると、子どもは「ほっと」できて、自ら環境にはたきかけて発達と遂げるのです。子どものためと言いながら大人が一方的に発達に適していないことを教えたり、制御したりすることは必要ないことのようです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ