待ってくれる人がいるから
2010年11月25日 木曜日
「夜回り先生」でおなじみの水谷修先生が講演会で、大人の対応が子どもの与える影響力について力強く語っていました。
水谷先生が中学生の時、同じクラスの友達に暴力をふるう教師に対して勇気を振り絞って抗議したら、生涯忘れられない出来事が待っていました。その教師は水谷さんを廊下に呼び出し、自分のげんこつを突き出して、「おまえはげんこつめがけて頭から走ってこい!」と命令しました。
水谷さんは悔し涙を流しながら走り、そのげんこつに自ら頭をぶつけました。何回か覚えていないほど要求されたそうです。その後、教師に対する不信感は大学生まで続きました。
その不信感をみごとに解凍してくれたのは、上智大学哲学科長の渡辺教授でした。携帯電話などない33年前、水谷さんに一言を伝えたくて下宿の片隅で一晩待っていてくださっっていました。そして「水谷君。大学に戻っておいでよ、待ってますよ。」とだけ告げました。
後日談ですが、水谷先生のお母さんが先生に相談してそのような触れ合いをしてくださったのだそうです。翌日から大学に通い始めるようになりました、渡辺先生はいつも静かに本を読み、どんな質問にも答えられる博学にもかかわらず、自分の意見は押し付けずに、明らかに間違っている時も「それでいいのかな?」と相手に考えさせるようにしてくれました。
今、自分が夜の繁華街をパトロールして出会う少女達に対しても、渡辺先生から教わったとおり、横に座って話を聞き最後に「帰ろうか」と言うだけ。先生から教わった待つことの大切さを大事にしているのです。という内容でした。
子ども主体・子ども中心の「見守る保育」も渡辺先生や水谷先生の実践と同じです。一人一人の子どもを信じきって、待ってあげることから全ては始まるのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ