幼保一体化「急いては事を仕損じる」
2010年11月27日 土曜日
11月22日の読売新聞に「こども園 幼保一斉反発 ~財源も中身も不明~」という記事が掲載されていました。以前にもこのブログで紹介したように、国は2013年度から幼稚園と保育園を統合する案を来年の通常国会に提出する予定です。記事では、全国の私立幼稚園関係者2,000人が幼保一体化反対緊急アピールを採択し、保育園関係者も反対パレードを行うなど保育現場での活発な動きを紹介していました。
保育園は児童福祉法に基づく施設ですから、親が働いているなどの理由で保育ができない家庭のお子様をお預かりし、保育料は所得によって異なります。しかし幼保一体化になると児童福祉施設ではなくなり、保育料は家庭の所得に関係なく利用した分だけ一律支払いになるなど、根本的な変更になる可能性があります。
このような戦後最大の大改革を行うのであれば、OECD諸国の質の高い保育を視野に入れ、最低といわれている保育者の人数や保育面積の基準を世界最高レベルの引き上げや、大人主導・大人主体の保育方法を見直すなどの、ガラパゴス脱却のための前向きな改革を希望するところです。なお、制度設計のワーキングチームの中には「見守る保育」を主宰している藤森園長先生も参画されています。
いずれにしても、子ども主体・子ども中心で考えた上での制度改革を行っていくことは大切ですが、「急いては事を仕損じる」とならないよう、今年度中の国会審議などという拙速な舵取りは利用者不在になりかねません。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ