周りの空気を読む「ニセモノ」
2010年05月31日 月曜日
「物語コーポレーション」社長の小林佳雄氏(こばやし・よしお)さんは、ピープルビジネス「一人ひとりが自分自身で意思決定」することが重要。「“意思決定”できる人材こそが“自分の物語”をつくり、幸せをつかむことが出来る」と唱える。同様にユニクロの柳井社長も「サラリーマンの時代は終わった、ユニクロは自営業者を造っている」と…。
外食産業のサービスは外国人が当り前の時代、「きついし 汚いし 労働時間は長い…」、離職率30%のこの業界。就職氷河期の今でさえ学生たちが寄り付かない“外食産業”。しかし…求人募集に1万人の学生が応募する外食チェーン。それが焼肉、ラーメン、お好み焼き店を全国で170店舗展開している「物語コーポレーション」は離職率7%。 大手ファミレスが次々と閉鎖するなど地崩れ状態の外食産業で、なんと4期増収増益中である。
全国で行われる学生対象の会社説明会、始まる前の学生にインタビューするとほとんどが、「外食産業は第一希望ではなく、今日は日程が空いていたからとりあえず参加した」。
ところが、小林社長が熱弁をふるった3時間後、学生達は「この会社でぜひ働きたいと思った、今日参加できて本当に幸せ」と、180度違う答えがかえってくる。
小林社長は一切会社説明はしない。人の顔色ばかり伺い、何一つ自分で意思決定していなかった若い頃の自分をさらけ出す。社長になってやっと解ってきたことは「人生の社長は自分、自分がどうすればよいかという情報を自分が一番たくさん持っているのに、失敗するのが怖いから、周りがどう思っているか、相手がどう思っているのかで決めている。わからないことを決めるのは自分、自分の心に聴いて決めなければいけないのに、それが恐ろしいから人がどう思うかを基準に決めるのを『ニセモノ』と呼ぶ」と言い切る。成長性、創造性、革新性が自分物語を造る。
自分の人生を切り開くための「意思決定力」の重要性が迷える学生の心を鷲づかみにしている。学生はその理念に感銘して入社してくる、焼肉屋に就職しているのではない、だからモチベーションが高いのだ。
カンブリア宮殿の最後に村上隆は、日本人ほど自分で意思決定できない国民はいない。重要なことは「誰から見ても自分が個人として生きているのがわかる」、「いつも自分自身が決める」、「人が決めたことに黙っていたら賛同したことになる」、「必ずその時点での決断・判断から逃げない」、「空気を読むな」と小林社長の理念を代弁した。
小林社長は集団ではなく一人ひとりの社員を大切にしている、社員一人ひとりの「自分物語」が集まって「会社物語」になっていくと…。
育子園も「見守る保育」理念を成長させ、創造し、革新していくために職員一人ひとりが「子ども中心、子ども主体」を大黒柱にして、周りに流されず、あえて空気を読まず、自分自身で「意思決定」していける環境を築いていき、やがて「見守る保育物語」へと発展していく。そこには間違いなく子どもにとって最も居心地の良い保育環境が実現する。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ